世界を動かす技術を、日本語で。

OpenAIのハッキング

2026年9月18日原文(hacktron.ai)

概要

  • 2026年7月25日、OpenAI従業員のChatGPTアカウントを2つの重大な脆弱性の連鎖で侵害
  • libheifのRCE脆弱性とOpenAI SSOの設定ミスを組み合わせた攻撃経路
  • 72時間以内にOpenAIの内部リポジトリへのアクセスを実証
  • 脆弱性発見・報告のプロセス、AI活用の詳細、教訓を解説
  • 対象バージョン・パッチ情報、今後の防御策も提示

OpenAI従業員アカウント乗っ取りの全貌

  • 2026年7月25日、 2つの脆弱性を連鎖 させ、 複数のOpenAI従業員のChatGPTアカウント を乗っ取り
  • 乗っ取ったアカウント経由で OpenAI内部リポジトリや複数の連携サービス へのアクセス経路を獲得
  • 証拠として、従業員のCodexから OpenAI内部monorepo(openai/openai)にPR #1186742を作成
  • GitHub、Slack、メール等の連携サービス にも理論上アクセス可能な規模感
  • 脆弱性発見からOpenAIリポジトリアクセスまで、 72時間以内で完了

脆弱性の詳細と攻撃経路

  • libheifのRCE(リモートコード実行)脆弱性 を利用
    • Discourseの画像アップロード機能で HEIC/HEIFファイルImageMagick経由でlibheifに渡る設計
    • Debian 12/13ベースのDiscourse Dockerイメージが 脆弱なlibheifバージョン(1.19.7/1.19.8) を含む
    • heap buffer overflow によりOOB R/Wプリミティブを獲得
  • OpenAI SSO(Single Sign-On)設定ミス による 認証フローの脆弱性
    • community.openai.com (OpenAI公式フォーラム)でSSOを悪用し、 ChatGPT/Codexアカウント乗っ取り を実現
    • DiscourseがSSO経由でOpenAIアカウントと連携している点を突いた攻撃

攻撃・検証の流れ

  • Hacktronチーム (Harsh Jaiswal、Mohan Pedhapati、Rahul Maini)による調査・実行
    • まず Discourseの画像アップロードパイプライン を解析
    • Opus 4.8/5(Claudeモデル) を活用し、脆弱性検証・エクスプロイト作成を自動化
      • Opus 5では 数時間でARM64→x86-64環境への移植に成功
    • 自社Discourse CloudでRCE実証後、OpenAIフォーラムで同様の攻撃を展開
    • 実際のコード閲覧を避け、 Codex経由でPR作成のみ実行し影響を証明
    • OpenAIおよびDiscourseへ即時報告、迅速なパッチ適用を確認

HEIF Heist:libheif脆弱性の波及と影響範囲

  • HEIF Heistlibheif依存ソフトウェア全体を標的 とする長期調査プロジェクト
    • Slack、Meta、GitHub Enterprise、Ruby on Rails、Node.js(Next.js、Astro、Gatsby) 等、多数のサービスでlibheif利用を確認
    • .heic/.heif/.avifファイルを受け入れるアプリケーションは高確率で影響
    • Discourse自体の脆弱性ではなく、libheif依存アプリ全体が攻撃対象
  • AIによる自動化攻撃の進化
    • モデルバージョンごとに エクスプロイト自動生成能力が向上
    • Opus 5→GPT-5.6 Sol でさらに高度な攻撃が可能に
    • 人間のガイダンスは必要だが、少人数で大規模な脆弱性調査が可能

パッチ・防御策・推奨事項

  • libheif脆弱性は特定バージョンに限定されず、複数系統に波及
    • 最新版(2026年9月14日時点:v1.23.4)へアップデート推奨
    • ディストリビューション固有の セキュリティアドバイザリも確認
  • HEIF/AVIFデコードが不要な場合は無効化、サンドボックス化推奨
    • ImageMagickのセキュリティポリシー で対応フォーマット・リソース制限を設定
  • Discourse自体のパッチ適用
    • 自己ホスト型Discourseは即時再構築 (git pull、./launcher rebuild app)
    • Discourseホスト型は既にパッチ済み
  • 攻撃経路はSSO全般に波及するため、OpenAI SSO利用サービス全体で警戒必要

今後のセキュリティ課題と提言

  • AIによる攻撃自動化で「複雑性による安全神話」が崩壊
    • 脆弱性の発見・悪用コストが 従来の数カ月→数日に短縮
    • 現実的な脅威モデル再構築経済性を考慮した防御戦略 が必須
  • Hacktronの使命
    • 信頼性の高いソフトウェアの脆弱性を 攻撃者より先に発見・修正
    • フロンティアラボ、インターネット基盤システム の継続的な調査・防御支援

参考・協力依頼

  • 影響調査や対応支援が必要な場合はhello@hacktron.aiへ連絡
  • 脆弱性報告・調査協力者への謝辞
  • HacktronはAIを活用した脆弱性調査・防御のリーディングチーム

関連情報やアップデートはHacktron公式サイトまたはセキュリティアドバイザリを参照