概要
- 380のソフトウェアカテゴリでAIモデルの推薦元URLを調査
- 推薦元の59.8%がTrancoランキング10万位以下のドメイン
- 23.4%はTrancoトップ100万にすら入らない新興・無名サイト
- 特定ベンダー運営の自動生成Best Listサイトが大量引用
- 推薦の根拠となる情報源の質と実態に課題
AIによるソフトウェア推薦の情報源分析
- 2026年9月2日、380のバイヤー向けソフトウェアカテゴリ(例:CRM software, museum collection management software)でAIモデル(perplexity/sonar, perplexity/sonar-pro)に「おすすめTop5製品と公式ホームページドメイン」をJSON形式で問い合わせ
- 合計760回のリクエスト で、全てパース可能な回答を取得
- 1,807製品、2,055ドメイン に分散した7,534件の引用URLを収集
- Trancoランキング調査 結果、59.8%が10万位以下、23.4%がトップ100万圏外のドメインへの引用
- 引用ドメインの36.5%がトップ100万圏外 であり、新規ドメイン比率も高い(Wayback初記録中央値:圏外2020年、圏内2011年)
上位引用ドメインとその特徴
- 上位10ドメインで全体の17.3%の引用を占めるが、 有名サイトの寡占ではない
- 例:g2.com(291件)、reddit.com(261件)、guideflow.com(194件)、gartner.com(158件)など
- guideflow.com は製品レビューサイトではなく、ベンダーのマーケティングブログ
- 96カテゴリで194回引用、各カテゴリごとに異なるブログURLが引用されている
- サイトマップには3,351のブログURL、2,176の固有記事
自動生成Best Listサイトの実態
- wifitalents.com, worldmetrics.org, gitnux.org の3サイトが共通テンプレート・インフラで運営されている疑い
- 3サイト合計で215,128件の/best/<something>-software/ページを自動生成
- それぞれのブログは6投稿のみで、互いのブランド紹介が中心
- HTMLタイトルやメタディスクリプションが「Facts & Grounding Page」などAI向けに最適化
- grounding は検索AIの内部処理用語であり、一般消費者向けではない
- サイト自体は「独立系マーケットリサーチ会社」と自己説明し、有料レポート等も販売
推薦先ベンダーサイトの現状
- 1,502件のベンダーホームページ を検証、1.1%(17ドメイン)が消滅または到達不可
- 6.1%(92件)は他ドメインへリダイレクト、ほとんどが通常の買収・リブランド事例
- 一部では全く無関係なギャンブルサイト等へのリダイレクトも発生
分析の限界と注意点
- Perplexityのみの分析結果 であり、他AI(ChatGPT, Gemini, Copilot等)は未調査
- 2モデルは独立ではなく、 retrieval layerを共有 しているため、実質同一検索スタックのサンプル2回分
- カテゴリは独自設計であり、実際の購買行動とは異なる可能性
- 取得したページ内容は、AIクローラーやブラウザへの返答と異なる場合あり
- Tranco順位は「人気度」であり「質」や「信頼性」ではない
- 引用情報源の除外や入替による推薦結果の変化は未検証
全データ・手法公開
- 全データセット・スクリプト・調査手法 は /data/manufactured-sources-behind-ai-recommendations/ にて公開
- ライセンスはCC BY 4.0
- PDF版レポートは trellner.com/data/manufactured-sources-behind-ai-recommendations/manufactured-sources-behind-ai-recommendations.pdf で入手可能
考察:AI推薦における「根拠情報源」の課題
- AIモデルの推薦根拠となる情報源 の多くが、実態不明・新興・自動生成コンテンツで占められている実情
- 消費者やバイヤーが信頼できる情報源 と認識しにくい構造
- 誰が・なぜ・どのように作ったページか不透明 な「Best List」系サイトの大量流通
- AIに最適化された自動生成コンテンツ が「事実」として流通し、検索AIの回答根拠となるリスク
- 今後、 AI時代の情報信頼性・検証性 の重要性が一層高まる課題