概要
- クレジットカードの特典 は年に約92億ドルの価値
- 中低所得層が高所得層の特典を実質的に補助
- 現金利用者は26%高い「隠れ税」を負担
- 政策や市場構造が富の移転を促進
- Durbin Amendmentが中所得層に逆効果
クレジットカード特典と富の移転
- American Expressの「 membership has its privileges」のスローガンの実態
- クレジットカード特典 の年間総額は約92億ドル
- 中低所得層 が高所得層の特典を間接的に負担
- インフレ下で企業がクレジットカードの インターチェンジ手数料 を価格に転嫁
- 支払い方法に関係なく 同一価格 のため、手数料分が全消費者価格に上乗せ
- クレジットカード利用者は リワード還元 で得をし、現金・デビット利用者は恩恵なし
- 現金利用者は26%高い「隠れ消費税」 を負担
- 年間約300億ドルが現金・デビット利用者からクレジットカード利用者へ移転
Durbin Amendmentの影響
- 2010年Dodd-Frank法のDurbin Amendment で大手銀行のデビットカード手数料を上限設定
- 2011年施行、消費者と加盟店保護が目的
- 結果として デビットカード利用者の特典減少 や無料口座廃止
- 現金利用者は恩恵 を受けたが、最大の勝者はクレジットカード利用者
- 手数料引き下げで商品価格は下がったが、クレジットカードのリワードは維持
- 政策は 逆進的 となり、中所得層が最も損失
研究結果の詳細
- Harvard Business SchoolのMark L. Egan教授らの研究
- Fiservと提携し、 約180万加盟店 のデータを分析
- 小売業者が手数料を価格に転嫁する前提で分析
- プレミアムカード利用者 はリワードの43%を獲得し、手数料の30%のみ負担
- 現金利用者 はリワードゼロ、手数料コストの10%負担
- 大手銀行発行デビットカード利用者 はリワード13%、手数料23%負担
- クレジットカード利用が 所得と相関 し、年収15万ドル超世帯に年間92億ドル移転
- 高所得世帯は年間約390ドル得し、低所得世帯は約88ドル損失
影響を和らげる要素
- 支払い方法ごとに買い物先が異なる傾向
- クロスサブシディの範囲が限定
- 大手小売業者は手数料交渉力が高い
- 手数料が低減され、移転規模が25%縮小
企業・消費者への戦略的示唆
- プレミアムカード利用増加が今後も予想
- 多店舗展開企業は 店舗ごとの顧客行動分析 が重要
- 小規模事業者は 手数料負担増 に対して対応困難
- プレミアムカード拒否やサーチャージ導入は競争力低下リスク
今後の政策課題
- 所得層ごとの「自己選択」現象
- 高所得層はプレミアムカード前提の店舗利用
- 現金・デビット利用者向け店舗は価格転嫁圧力が小さい
- 大手小売業者は交渉力で手数料抑制
- 中所得層が最も不利益
- デビットカード特典消失、価格メリットも限定的
- 低所得層は大きな影響なし、中所得層が最大の被害者
- 高所得層は恩恵享受
まとめ
- クレジットカード特典制度は中低所得層から高所得層への富の移転構造
- 現行の手数料・リワード政策は逆進的
- 今後の政策設計では層別影響を考慮した改革が必要