世界を動かす技術を、日本語で。

普通の豊かさ

概要

  • Edward Bellamy が夢見た「音楽オンデマンド」は、かつては人類の究極の幸福とされた
  • 現代のアパートには、かつて驚嘆の対象だった発明品が多数存在
  • 日常の便利さは、過去の世代の偉大な努力の賜物
  • 進歩に慣れた現代人も、時にはその「当たり前」に驚嘆する価値
  • 未来へ続く発明と進歩への期待

現代のアパートに潜む「かつての奇跡」

  • 音楽の自由

    • 1888年、Edward Bellamyは「自宅で好きな音楽を好きな時に聴ける」ことを究極の幸福と表現
    • 録音技術以前は、生演奏や楽器がなければ音楽を楽しめなかった現実
  • 電気の光

    • 1880年、Wabash, Indianaが全市電灯化され、人々は「超自然的な光」に驚嘆
    • それ以前は、ろうそくや油ランプ、ガス灯が主流で、室内は常に煙と暗さに悩まされていた
  • 壁の中の美術館

    • André Malrauxは「壁のない美術館」という概念を提唱
    • 複製技術以前は、名画を見るには教会や美術館に行くしかなく、多くの人には縁遠い存在
  • 記憶の保存

    • 1843年、Elizabeth Barrett Browningはダゲレオタイプ写真に「永遠に残る影」に感動
    • 写真以前は、肖像画が唯一の記録手段で、多くの家族は亡くなった親族の正確な姿を持たなかった
  • 視力の補正

    • 1306年、Giordano da Pisaが眼鏡の発明を「世界で最も必要な技術」と称賛
    • 老眼などで読書や細かい作業ができなくなることが一般的だった
  • 遠距離通信

    • 1858年、Briggs & Maverickが電信を「永遠の奇跡」と絶賛
    • それ以前は、手紙は人が運び、返事は数週間から数ヶ月かかるのが普通
  • 本の解放

    • 1505年、Jakob Wimpfelingが印刷技術を「ほぼ神の恩恵」と評価
    • 手書きの本は非常に高価で、図書館では本を机に鎖で繋いでいた歴史

キッチンに見る進歩の軌跡

  • 蛇口からの清潔な水

    • 1842年、Philip Honeがニューヨークの水道開通に市民が歓喜した様子を記録
    • それ以前は井戸水が主流で、衛生状態が悪くコレラの流行も
  • 遠方から届く果物

    • 1822年、Charles Lambがパイナップルの希少さと喜びを表現
    • 18世紀英国ではパイナップルは高価で、レンタルすることもあった
  • 冷蔵保存

    • 1837年、アメリカの氷がインドに運ばれたことが「人類への大きな貢献」と讃えられた
    • 冷蔵庫以前は生鮮食品はすぐに腐敗し、季節外の食材はほぼ不可能
  • 世界の香辛料

    • 1309年、Jean de Joinvilleがジンジャーやシナモンなどの希少な香辛料を「楽園からの贈り物」と描写
    • 中世では1ポンドのジンジャーが羊1匹、サフランは馬1頭分の価値

バスルーム・家事・移動の革命

  • 天然痘の撲滅

    • 1806年、Thomas JeffersonがEdward Jennerのワクチンによる天然痘根絶を称賛
    • かつては感染者の3割が死亡、年間40万人の死者も
  • 麻酔の登場

    • 1871年、W. T. G. Mortonの麻酔公開により「手術の苦痛が消えた」と墓碑に刻まれる
    • 麻酔以前は手術は激痛、対処法はスピード・酒・アヘンのみ
  • 屋内トイレの普及

    • 2003年、Patty Doakが初めて屋内トイレを使った喜びを語る
    • 20世紀半ばまで多くの農村家庭は屋外トイレ、生活用水も手運び
  • 自転車と女性の自由

    • 1896年、Susan B. Anthonyが自転車が女性の解放に与えた影響を絶賛
    • 「セーフティバイシクル」の普及が女性の行動範囲を拡大
  • 洗濯機の導入

    • 1797年、Anna Laetitia Barbauldが「洗濯の日」の苦労を詩に
    • 洗濯は水運び・加熱・手洗いで一日がかりの重労働
  • ミシンの登場

    • 1860年、Godey's Lady's Bookがミシンを「慈善や宗教よりも効果的」と称賛
    • ミシン以前は衣服数点が普通、新しいシャツ一枚に14時間の手縫い
  • 全室暖房

    • 1796年、Thomas Jeffersonが冬の寒さでインクが凍る体験を記録
    • 寝室は外気温と同等、洗面器が凍ることも珍しくなかった
  • 空を飛ぶ夢

    • 1908年、Wilbur Wrightが「鳥のように飛ぶ願いは祖先からの夢」と語る
    • 飛行機以前は大洋横断に一週間以上、移民は家族と永遠の別れも

日常の「当たり前」に宿る奇跡

  • 現代生活に溶け込んだ発明品

    • マットレスや照明、冷蔵庫、蛇口、音楽再生機器など、かつては夢や贅沢だった品々
    • 進歩に慣れ、感謝や驚きが薄れがち
  • 未来への挑戦と希望

    • 現代の便利さは過去の努力の集大成
    • さらなる進歩を求める人類の飽くなき探求心
    • 新しい治療法・道具・制度が未来世代を助ける期待
  • 「当たり前」への再発見

    • 日常の中の奇跡に気づき、過去の偉業を称えることの大切さ
    • 進歩の積み重ねが、今の生活を形作っている事実

参考文献

  • Edward Bellamy, Looking Backward: 2000–1887
  • André Malraux, Le Musée imaginaire
  • Elizabeth Barrett Browning, Letter to Mary Russell Mitford
  • Giordano da Pisa, Lenten sermon
  • Charles F. Briggs & Augustus Maverick, The Story of the Telegraph
  • Jakob Wimpfeling, Epitoma rerum Germanicarum
  • その他、現代史・技術史に関する各種一次資料

Hackerたちの意見

ヘドニック適応って本当にすごいよね。最近、現代の素晴らしいものをもっと感謝しようとしてるんだけど、なかなか難しい。温かいシャワー、外気よりも約50度も涼しい空気が出てくるエアコン、何千マイルも離れたところと瞬時にコミュニケーションが取れること、全部すぐに忘れちゃって当たり前になっちゃうんだよね。

現代の生活にはNetflixのカオスモンキーみたいなツールが必要だと思う。毎週、1つの便利なものが1日使えなくなるの。室内配管、エアコン、電気、Wi-Fi、自動車、航空旅行とか。1日それがないと、またその便利さを数年は感謝できるようになるよ。

それは本当だね。ネガティブな面は、未来にどんな奇跡が来ても(無料エネルギー、完璧な医療、無限の資源、無限の知性)、人々は永遠に欲しがり、物を当たり前に思い、持っていないものやできないことに主に焦点を当て続けるってこと。これが人間の本質なんだ。

ノスタルジアについての議論では、今の方が良いっていう反応がデフォルトになってる気がする。でも、快楽適応の観点から見ると、比較は複雑で、今の人たちが全体的に幸せだとは言えないんだよね(快楽主義のせいで、どれだけ分配されているかの議論を避けてるし、ここで言ってるのは過去50〜100年のこと、農業や初期の産業革命と比べてるわけじゃない)。今が良いって感じるのは、この適応に基づいてると思う。もし小さなことを知らなかったら、もっと不幸だったかもしれないって考えてないんじゃないかな。

キャンプに行こう

誰もが快楽的な高原に達するし、すぐにね。ネオリベラルな思想書を読んだような人たちを除いて。彼らはコンビニの素晴らしさに感動して気絶しそうになるよね。誰かが劣った道具を10年間使っていて、それで満足してたのに、より良いものを試したら「これなしでどうやって生きてたんだろう…」って言うエピソード、あれはほろ苦い記憶の歪みだよね。

毎年一度は「苦痛の週」を過ごすべきだってよく言うんだ。つまり、私たちの「祖先」のように生きるってこと。例えば、1920年代に農場で育った祖父母のように、暖房のある部屋は一つだけ、トイレは外、流水もなく、食べ物の選択肢も限られていて、毎日ハードワーク。祖母がノスタルジーを感じている人に言ってたように、「昔は絶対に良かったわけじゃないよ」。苦痛の週を過ごすことで、残りの一年の幸福度が大きく増すし、謙虚さや恵まれない人への共感も生まれると思う。

ヘドニック適応はすごく良いことだよ。文化や技術の停滞は文明にとって死刑宣告みたいなもん。無限の進歩が文明が生き残る唯一のチャンスだし(それすら保証されてるわけじゃない)。未来の問題は無限に続く。問題を解決するたびに、未来の問題の総数が減るわけじゃなくて、前よりも良い問題が一つ以上残るだけなんだ。エアコンに慣れたら、次の解決すべき問題を探し始めるのはすごく良いことだよ。

あんまり責めるつもりはないけど…50度?フェニックスに住んでて、家の温度を60度にしてるの?

こういうことをよく考えるんだ。きれいな水で植物に水をやるなんて、ほんとに信じられないよね。温かいシャワーがいつでも浴びられるのは、毎日の奇跡だと思う。人々がこんなに便利なのに、なぜか王族のように感じないのかっていうのは、道端で拾った不揃いで不快な見た目の家具を使ったり、安っぽい二階建てやボロボロのトレーラーハウスで、10年前に交換すべきカーペットや壊れたブラインドがあるような、そんなプレゼンテーションに変えたらすぐにわかると思う。キッチンテーブルの上には宿題の山や、20通の医療請求書や「EOB」レターが積まれてて、それらの中には間違ってるものもあって、訂正するのに何時間も電話しなきゃいけないかもしれない。プレゼンテーションは上中流階級で、めちゃくちゃ快適なんだよね。うちの家族は、アメリカのトップ10%(世界的に見ても!)の世帯収入があるのに、やっと少しずつ、しかも安く手に入れようと苦労してるけど、現実はそんな風には見えないから、結局達成できないんだ。サイトの主旨ではないかもしれないけど、こういう表現の仕方は興味深いと思う。実際の主旨についての批評や詳述を示唆してる気がする。スクロールしながら、こんな環境がどれだけ高いか考えてるんだ。スパイスが可愛い密閉瓶に入ってて、棚に並んでるなんてことはない…だってそれ、めっちゃ高いから。うちのはほとんどが古くなってるし…新鮮なスパイスは高いし、探すのにも手間と知識がいるから。もしかしたら、重金属に汚染されてるのもあるかもしれないし、気づいてない。これらの背後には、価格への不安とストレスがある。核心のアイデアはしっかりしてて強調する価値があるけど、「こんなにたくさんのものが、ほぼ無限の量と種類で超安く手に入る!すごく素晴らしい!」っていう現実は、疲れた親がNetflixのカタログを1時間もスクロールして、何も見ずに寝る前に、子供の明日の歯医者の予約が高額になってしまうかもしれないことを心配している姿なんだ。

「...doom-scrolling...」 これがあなたの嘆きの支えになってるかもしれないね。

上中流階級や上流階級、さらにその上の階級の人たちが普通の豊かさを大切にするようになれば、下の階級の人たちに悪影響を与える富の搾取を減らせるかもしれない。医療業界の人たち、臨床医から供給者、研究開発、管理者まで、みんなが普通の豊かさに満足していれば、医療費もそんなに高くならないはず。技術的には、すべての人にこの普通の快適さや危機に対するセキュリティ、30時間労働の週を提供できるはずなんだ。

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