概要
- Illinois州の新法HB5511(Children’s Social Media Safety Act)は、未成年者のSNS利用規制とOSプロバイダーへの新義務を定める。
- ソーシャルメディア規制だけでなく、OS提供者にも年齢認証機能の実装を2028年までに義務付け。
- オープンソースソフトウェアへの例外規定はなく、商用・非商用問わず広範囲に影響。
- 罰則額や適用範囲に関する混乱もあり、業界団体や電子フロンティア財団(EFF)も反対。
- 今後の修正や法的挑戦の可能性も残されている。
Illinois HB5511(Children’s Social Media Safety Act)の概要
- HB5511 は、未成年者の SNS利用安全強化 を目的とした法律。
- 2024年7月31日 にGovernor JB Pritzkerが署名し、 Illinois Public Act 104-0664 として成立。
- Instagram、TikTok、Snapchat、X(旧Twitter)、Facebook、Roblox などが名指しで規制対象。
- アルゴリズムフィードのデフォルト無効化、 夜間通知の停止 (22時~7時)、 成人による未成年への接触禁止 などを義務化。
- ニュースサイト、メールサービス、ブロードバンド、学校用ソフトウェア は明確に対象外。
オペレーティングシステム(OS)プロバイダーへの新義務
- 法律の 別セクション で、 OSプロバイダー や デバイスメーカー、 アプリストア を「カバードマニュファクチャラー」として広く定義。
- 2028年1月1日までに、OSレベルで 年齢申告プロセス と アプリへの年齢区分シグナル送信API を実装義務。
- シグナルは 13歳未満、13-15歳、16-17歳、18歳以上 の4区分。
- 自己申告制 でパスポートや顔認証は不要。
- API経由でアプリが年齢区分を取得、未成年なら自動的に保護措置が発動。
- ColoradoやCaliforniaと同様の枠組み だが、 オープンソース例外規定はなし。
- オープンソースプロジェクトも義務対象 となり、現実的な運用負担が懸念。
罰則と執行
- Illinois州司法長官のみが執行権限 を持ち、個人による訴訟は不可。
- 法文上の罰則は 過失で子ども1人あたり最大$2,500、故意なら最大$7,500。
- 一方、知事のプレスリリースでは 違反1件あたり最大$50,000 とされ、 金額に矛盾。
- 実際の適用範囲は州内で事業展開するGoogle、Microsoft、Apple等の大手ベンダーが中心。
- 趣味レベルのLinuxディストリビューション管理者等は実質的に適用困難。
他州との比較と今後の展望
- ColoradoはSystem76創業者Carl Richellの働きかけで、オープンソース等を明確に免除。
- Californiaも同様の修正法案を進行中 (2024年6月時点で未成立)。
- Illinoisは例外規定を設けず、最も厳格な形で成立。
- EFFやNetChoiceなどの団体もプライバシーや表現の自由の観点から反対。
- 今後、業界からの働きかけや法的挑戦、修正法案の成立で状況が変わる可能性。
- NetChoiceは他州の同様法案にも既に訴訟を起こしている前例。
- 2028年1月1日までに修正がなければ、Illinoisモデルが他州のテンプレートになるリスク。
まとめ
- Illinois HB5511は、SNS規制とOSレベルの年齢認証義務を組み合わせた全米でも最も広範な子ども向けIT規制法。
- オープンソース例外がないため、非営利・コミュニティプロジェクトにも影響が及ぶ設計。
- 今後の法的動向や修正の有無が、IT業界全体への影響を大きく左右。