概要
Cloudflare Workers AIは、Kimi KシリーズやGLMなど大規模モデルの推論を効率的に提供。 メモリ制約を克服するため、KVキャッシュの量子化やモデル重みの圧縮など三つの最適化を実施。 パフォーマンス維持とコスト削減を両立しつつ、モデル精度は損なわないことを実証。 SGLangフレームワークを活用し、最先端のベンチマークで高い性能を確認。 今後も最適化を進めつつ、さらなるユーザー拡大を目指す。
Workers AIによる大規模モデルの効率的推論
- Workers AI は、CloudflareデータセンターのGPU上で Moonshot Kimi Kシリーズ や Z.ai GLM などの大規模オープンモデルを提供
- これらのモデルは 長文コンテキスト や Mixture-of-Experts 構造により高性能だが、 メモリ消費量が非常に大きい
- 従来の最適化(prefillとdecodeの分離)に加え、 KVキャッシュ量子化 ・ モデル重み圧縮 ・ KVキャッシュ保護 の三つの技術を導入
KVキャッシュの量子化
- モデルが生成するテキストの各トークンについて、 アテンションキー(K)とバリュー(V) を KVキャッシュ に保存
- 通常は 16ビット精度(BF16) だが、 8ビット浮動小数点(FP8, e4m3) にすることでキャッシュサイズを半分に圧縮
- 例:Kimi K2.6で 約68万→約137万トークン までメモリ内保持が可能
- FP8化 により同時リクエスト数が倍増し、 最大トークン処理速度は約41%向上、コストは約30%削減
- モデルの 精度(各種ベンチマーク)に影響なし を検証済み
モデル重みの圧縮
- モデル重み もGPUメモリ消費の主因
- 例: GLM 5.2 の重みを 8ビット(FP8)→4ビット整数(INT4) へ圧縮
- チェックポイントサイズが 705GB→421GB(約40%削減)、1GPUあたりのメモリ消費も大幅減
- INT4圧縮でも 精度はFP8とほぼ同等 (各種ベンチマークで0.8ポイント以内の差異)
- decodeフェーズ ではデータ転送量減少により 速度向上、 prefillフェーズ は若干遅くなるが分離設計で最適化可能
共有KVキャッシュの保護
- 上記最適化により 1GPUで多数リクエストが同時にKVキャッシュを共有
- キャッシュ整合性チェック を実装し、ページタグで再割当てを管理
- 不整合検出時は該当リクエストを中断し、誤ったデータ返却を防止
- パフォーマンス影響は1%未満 に抑制、デフォルトはno-opでオーバーヘッドなし
SGLangフレームワークの活用
- SGLang はオープンソースの高性能推論サービング基盤
- Cloudflareは SGLangチームと協力 し、パッチや新機能をコミュニティに還元
- 実験・本番トラフィックともに SGLangでベンチマーク、最高水準の性能を実現
今後の展望
- FP8 KVキャッシュ の更なる普及
- Blackwell(NVIDIA新GPUアーキテクチャ) での NVFP4重み の検証
- キャッシュ整合性チェック の全展開と低コスト化
- コスト削減と高精度を両立しつつ、より多くのユーザーへのサービス拡大を目指す
採用案内
- 大規模オープンモデルをGPUに最適化し、数百万開発者に届ける課題 に興味がある方は、Cloudflareでの活躍を歓迎