概要
- WASTE は、巨大な2.78兆パラメータモデル(Kimi K3)を 一般消費者向けノートPC で動作可能にするC製推論エンジン
- モデル全体はRAMに収まらず、必要なエキスパートのみを ストリーミングでディスクから読み込み、残りのRAMはキャッシュに活用
- 依存ライブラリなし・自己完結型、PyTorch基準で検証済みの高精度
- パフォーマンスは遅いが実用的 (0.5トークン/秒)、消費者PCでのトリリオン級モデル動作実証
- ネットワーク不要・完全ローカル で大規模モデル利用を可能にするアーキテクチャ
WASTEエンジンとKimi K3モデルの特徴
- WASTE はC言語のみで書かれた 埋め込み可能な推論エンジン、サードパーティランタイム依存なし
- Kimi K3 :2.78兆パラメータ、変換後982 GiBコンテナ、 64 GB RAMのMacBook Pro で動作実績
- モデルは圧縮・削減なしの完全版、混合エキスパート方式で1トークンあたり約4%のみ活性化
- モデル本体(trunk)は常駐メモリ、エキスパートはディスクからオンデマンドで読み込み、 RAMはキャッシュに最大活用
- 例:64 GBマシンで46 GBを予算に設定し、うち17.56 GBがエキスパートキャッシュ
- CLI利用例 :
waste run ~/models/k3.waste 'What is the capital of Italy?'→ 「The capital of Italy is Rome.」
技術的アプローチと仕組み
- モデル変換 :一度だけJSONマニフェスト+常駐trunk+各レイヤごとのエキスパートバンクに分割
- エキスパートは1つのreadでアクセス、各レコードは4 KiBアライン、ゲート・行列隣接配置でI/O最適化
- ページキャッシュをバイパス (macOS: F_NOCACHE, Linux: O_DIRECT, Windows: FILE_FLAG_NO_BUFFERING)
- エキスパート重みは3ビット量子化 (Residual Vector Quantization)、行列はそのまま展開せず部分積テーブルで計算
- キャッシュ設計 :1トークン分の作業セット(K3で17 GB)を超えて初めてヒット率が向上
- 32 GB予算:ヒット率0%、46 GB:13%、58 GB:37%だがページアウトで逆に遅くなる
- 自己調整型メモリ割当 :OSのページアウトを避けつつ最大効率となるようキャッシュ予算を自動調整
パフォーマンス・要件
- Kimi K3 :982 GiBコンテナ、RAM 29.05 GB以上(4Kコンテキスト)、64 GB推奨
- 内部NVMe必須(12.78 GB/s)、USB経由だと極端に低速化(0.94 GB/s)
- Kimi-Linear 48B :19 GiBコンテナ、RAM 1.87 GB以上、10.7 tok/sで動作
- 自己完結型バイナリ :libwaste.aとwasteバイナリのみ、BLAS/CUDA/Python不要
- API公開 :Cヘッダから26関数、RAM上限指定→モデルオープン→生成→セッション保存/終了
工学的な工夫・限界
- I/Oと演算のオーバーラップ で1.6倍高速化
- キャッシュサイズ増加や読み込みバイト削減 は効果なし(機械の物理制約による)
- 今後の改善余地 :より高速なディスクや大容量RAMマシンの利用
- キャッシュは「一単位分」ごとにしか価値がない、中途半端な増加は逆効果
- 線形アテンションと小型KVキャッシュ :Kimi Delta Attention + Gated Multi-head Latent Attentionで効率化
- 4Kコンテキストで11.25 GB→0.21 GBにキャッシュ削減
WASTEの意義と哲学
- API利用やクラウド課金なし、完全ローカルで巨大モデルを活用
- K3専用設計ではなく、任意のMoEモデルに適用可能
- 測定値はすべてコミット時点で検証済み、誤りは履歴に明記
- 「クラウドで消費されるトークンの二重支払い」へのアンチテーゼ
- WASTE は「その無駄なトークン消費を終わらせる第一歩」
導入要件まとめ
- ディスク :変換後コンテナ982 GB(実質1 TB必要)、元シャード変換用に1.42 TB一時領域
- RAM :K3で最低29.05 GB、実用は64 GB推奨
- ストレージ速度 :内部NVMe必須、USB外付け不可
- ビルド :C11コンパイラとmakeのみ、追加ライブラリ不要
まとめ
- WASTE は、 消費者PCでトリリオン級モデルをローカル実行 する新たな実装例
- I/O最適化・キャッシュ設計・量子化技術 で「現実的な速度と精度」を両立
- 今後は高速化・大容量RAM環境での展開が課題
- APIおよびCLIで容易に組み込み・利用可能 な自己完結型エンジン
- 完全ローカル・プライバシー重視・コスト削減 を志向するエッジAIの新しい潮流