概要
- エレベーターの待ち時間や動作の謎を解説
- 基本的なアルゴリズムから高度な制御方式まで紹介
- 複数台の協調や混雑時の最適化手法を比較
- 待ち時間分布やユーザー体験への影響を分析
- 先進的なシステムの意外な落とし穴も解説
エレベーターのアルゴリズム基礎
- エレベーターの動作は 単純そうに見えて実は複雑 な制御
- 最も基本的なアルゴリズムは SCAN方式 (1961年特許取得)
- ロビーから最上階まで直行し、折り返して降下
- 途中で乗降希望者がいれば随時対応
- 実際は 最上階まで行かず、必要な階で折り返すLOOK方式 が主流
- 利用者が期待する一般的な動き
複数台エレベーターの協調
- 複数台ある場合、 中央スケジューラー が各エレベーターに指示
- 新しいリクエストは 最も近いエレベーター に割り当て
- さらに進んだ制御で、 より効率的な割り当て が可能
待ち時間の評価指標
- アルゴリズムの良し悪しは 待ち時間の短さ で評価
- 例:30秒以内、90秒以内に到着する割合
- より厳密には 待ち時間分布(ヒストグラム) を分析
- 例:p90=2分→90%の利用者が2分以内に乗車
- p50=1分→半数の利用者が1分以内に乗車
- 平均値よりも 最悪ケース(p90) が印象に残りやすい
混雑パターンと待ち時間
- 朝のラッシュ時 はロビーから上階への一方向集中
- 夕方は逆方向、昼は双方向や階間移動が増加
- 時間帯や交通パターンで 待ち時間分布が大きく変動
- 特に朝のラッシュは 待ち時間が悪化しやすい
より賢いエレベーター制御
- LOOK方式では 最寄りのエレベーター に割り当てるだけ
- Otis社の RSR(Relative System Response)アルゴリズム でさらに最適化
- 各エレベーターに スコア を付与し、最適な車両を選定
- スコア=到着予想時間+車内混雑ペナルティ+同方向重複ペナルティ−方向一致ボーナス−近接待機ボーナス−低混雑ボーナス
- 同方向重複防止 :既に他の車両が同じ方向に向かっていればペナルティ
- 近接待機ボーナス :2フロア以内の待機車両にボーナス
- 5秒ごとに再最適化 し、状況変化に柔軟対応
LOOK方式 vs RSR方式の比較
- LOOK方式 は流量が少ない小規模ビルで優位
- RSR方式 は混雑時や複雑な交通パターンで効果的
- 流量が極端に多い場合は LOOK方式が逆転優位 になる場合も
- 乗車中の移動時間 (journey time)は両方式で特性が異なるが本記事では割愛
Destination Dispatch(目的地指定型制御)
- 最新型エレベーターでは 各階にキオスク端末 を設置し、行き先階を事前指定
- 端末が どのエレベーターに乗るべきか案内
- 理論上は 全利用者の目的地情報が分かるため最適化しやすい はずだが、現実は逆
- 多くの場合、 待ち時間が悪化
- 例外は超高層ビルや1バンク8台以上の大規模運用時のみ
- 理由は 5秒ごとの再最適化ができなくなる柔軟性の喪失
- 一度割り当てた車両に必ず乗らなければならず、状況変化に対応不可
- 情報増加より柔軟性喪失のデメリットが大きい
シミュレーションとまとめ
- 全パラメータを調整可能な シミュレーション も存在
- エレベーターのアルゴリズムは 奥深く、日常のイライラも合理的な理由
- 「ボタンを押しても来ない」理由は、単なる無視ではなく複雑な最適化の結果