概要
- La Jolla Institute for ImmunologyとScripps Researchが 新しいHIVワクチン を開発
- このワクチンは 「広域中和抗体」 を大量に誘導
- サルで 過去最高レベルの抗体反応 を確認
- ヒト臨床試験が すでに開始
- 14年にわたる 共同研究の成果
画期的なHIVワクチン開発
- La Jolla Institute for Immunology(LJI)とScripps Research、IAVIの 共同開発
- HIV感染およびAIDS発症を 防ぐ可能性
- サルにおいて 「広域中和抗体」 の高頻度誘導を初めて実現
- 研究リーダーは Shane Crotty, Ph.D.(LJI) と William Schief, Ph.D.(Scripps Research)
- 研究成果は Nature誌で発表
- 14年の長期共同プロジェクト、 Scripps Consortium for HIV/AIDS Vaccine Development(CHAVD) の一環
HIVを出し抜くメカニズム
- ワクチンは B細胞の成熟プロセス に介入
- B細胞は抗体産生細胞で、 「訓練」 により特異的抗体を作成
- 通常、HIVは 糖鎖(glycans) でカモフラージュし、B細胞の訓練を妨害
- HIVは 急速な変異 と 構造変化 により免疫から逃避
- これらの理由で、B細胞は 効果的な抗体 を作りにくい
「広域中和抗体」誘導の新戦略
- 「広域中和抗体」は極めて 稀少 だが、一部のHIV感染者の血液で確認
- 有効なワクチンには、 これらの抗体を誘導 する必要
- 研究チームは B細胞の成熟過程を逆追跡 し、抗原(HIV外膜タンパク質の一部)を特定
- これらの抗原をワクチンに組み込み、 B細胞の訓練を再現
- 分子工学 により、HIV抗原に似せたワクチン分子を設計
サルでのワクチン試験
- Emory National Primate Research Centerと協力し、 アカゲザル でワクチン試験を実施
- 「プライミング」ワクチンで ナイーブB細胞 を活性化
- 続けて「シェパーディング」ブースターで B細胞を成熟誘導
- このアプローチは 「germline targeting(生殖系列標的)」 と呼称
- サルの約 44% で「広域中和抗体」産生を確認
- 超稀少な抗体応答を 一般的な応答に変換
ヒト臨床試験と今後の展望
- Crotty研究室は ブースター接種方法の最適化 を計画
- サルで得られた抗体は、 ヒトの自然発生抗体と類似
- ヒト免疫系でも 同様の強力抗体の誘導が期待
- 初期免疫原は HVTN 144試験 でヒトに投与済み、現在 IAVI G004第1相試験 進行中
- IAVI、Scripps Research、HIV Vaccine Trials Networkらが 臨床評価を推進
支援・著者・資金
- 共同著者には Claudia T. Flynn、Swastik Phulera、Monolina Shil など多数
- 支援機関は National Institute of Allergy and Infectious Diseases(NIAID)、Gates Foundation など
- 研究資金は NIH助成金、Gates財団 等による提供
このHIVワクチン開発は、 免疫学の深い理解 と 分子工学の革新 によって実現した 画期的成果。今後のヒト臨床試験による実用化が期待される。