概要
- エージェントスウォーム による大規模協調の限界検証
- 新旧システム比較 でSQLiteをRustでゼロから構築
- タスク分割・役割分担 の最適化による効率向上
- バージョン管理・衝突対策 のための独自VCS開発
- レビュー・知識共有 による品質維持と自己修正
エージェントスウォームによる大規模タスク協調の進化
- 今年初めに、 複数エージェントの協調 によるタスク遂行能力の限界を検証する実験を実施
- 代表的なプロジェクトは、 ゼロからWebブラウザを構築 する長期的なスウォーム
- 概念実証には成功したが、 実用的なソフトウェア品質には未到達
- 実験は 経験的アプローチ で、安定したシステムを目指して漸進的に改善
- 以降は、 エージェントスウォームの構造理解と意図的な設計 を目標に
SQLiteプロジェクトによる新旧スウォームの比較実験
- 旧スウォームが苦戦したSQLiteのRust実装 を再挑戦課題に設定
- 同一モデル・同一時間制限 で新旧スウォームを比較
- Grok 4.5モデル利用時、新スウォームは 4時間で80%のテストスイート合格、旧スウォームは2時間未満で中断
- プランナーとワーカーの役割分担 を柔軟に変更し、コストと品質のバランスを検証
- 全ての構成で新スウォームが旧スウォームを上回る結果
タスク分割とエージェントの役割設計
- 大規模タスクは ツリー構造 で分割される
- プランナーエージェント :賢いモデルで目標を細分化し、割り当て
- ワーカーエージェント :高速・低コストモデルで実作業を実行
- 問題の形状に合わせて スウォームの構造が自律的に成長
- この設計により、 多様なタスクへの汎用性 を実現
- 社内利用例: 脆弱性発見・修正、テストカバレッジ向上、合成データ生成
メモリ効率とスウォームのスケーラビリティ
- 単一エージェントは全タスクを把握する必要があり、 文脈保持に限界
- スウォームでは プランナーは設計に集中、ワーカーは実装に専念 でき、文脈効率が向上
- この 文脈効率 こそがスケーラビリティの本質
- Ronald Coaseの組織論にも類似構造
独自バージョン管理システム(VCS)の開発
- 既存のGit等は 数百エージェントの同時作業 に不向き
- 1,000コミット/秒 のスループットを支える新VCSを自社開発
- 変更の衝突検出や協調機構もVCS内部で実装
高速スウォーム特有の障害と対策
- Split-brain設計 :複数プランナーが同じ概念を異なる方法で実装
- プロンプト設計で回避、設計決定を一元化
- プランナー間の競合 :同一ファイルを巡る設計対立
- 設計ドキュメントと参照で解決、矛盾時はリコンサイラーが調停
- マージコンフリクト :ワーカー同士の同時編集衝突
- 第三者エージェントが中立的に解決
- メガファイル問題 :肥大化したファイルでの衝突多発
- ワーカーが肥大化を検知・フラグ、専用エージェントが分割
- オシフィケーション(硬直化) :コアコードの変更忌避
- 意図的な破壊を許可、理由説明コメントで依存箇所を誘導修正
- レビュー手法 :多様な視点・モデルによる積層的レビュー
- 複数の「レンズ」で監査し、人的品質を超える信頼性を追求
環境変化による間接協調(スティグマジー)
- アリやシロアリのような 環境を介した協調 (スティグマジー)の導入
- エージェント自身が 知識共有用フィールドガイド を作成・管理
- モデル重みが固定されているため、 意外な発見やノウハウを蓄積
- 後続エージェントの効率化 に貢献
SQLite実験の詳細と評価
- 835ページのSQLiteマニュアルをRustで実装 するタスクを新スウォームに指示
- ソースコード・テストスイート・バイナリ・インターネットアクセスは一切非公開
- sqllogictest を使い、進捗を自動評価
- 数百万クエリに対する正答率を計測
- 各エージェントが独自戦略で構築 し、進捗曲線の傾向を分析
モデル構成ごとの結果
- テストした構成例:
- GPT-5.5 (プランナー兼ワーカー)
- Grok 4.5 (プランナー兼ワーカー)
- Opus 4.8+Composer 2.5 (ハイブリッド構成)
- Fable 5+Composer 2.5 (次世代プランナーと効率実行)
- 全構成で新スウォームが旧スウォームを上回る
- Fable 5ハイブリッドは 1時間で2/3合格、4時間で73〜85%
- 旧スウォームは 11〜77% にとどまり、Grok 4.5は2時間未満で中断
- 全新構成は最終的に100%合格
コミット・コンフリクト統計と考察
- Grok 4.5の旧スウォームは 2時間で68,000コミット (新スウォームの約70倍ペース)
- しかし 70,000超のマージコンフリクト が発生し、安定せず中断
- 新スウォームは 4時間で1,000未満のコンフリクト に抑制
- 大規模スウォーム制御の本質は、効率的な分割・協調・知識共有にあり