概要
- Zilog Z80 は1976年に登場し、8ビットマイクロコンピュータの標準を作った歴史的プロセッサ
- 前身のIntel 8008/8080 から進化し、多くの派生・互換CPUやソフトウェア標準(CP/M, Microsoft BASIC)を生み出した
- 産業用途 でも長く使われ、Zilogは近年までZ80の改良版を提供
- 筆者自身の体験や、 コンピュータ歴史博物館 の証言を交えた回顧
- 8008からZ80までの 技術的進化と設計思想 の流れを解説
Zilog Z80誕生50周年とその歴史的意義
- Zilog Z80 は1976年7月に公式発表、8ビットマイクロコンピュータの代表的存在
- 初期パソコンやホビー用、産業用組込み機器に広く採用
- Intel 8080/8085 とのバイナリ互換性により、ハードウェア・ソフトウェア両面で事実上の標準化を実現
- CP/M や Microsoft BASIC などの普及に貢献
- 多くの互換・派生CPU(例:Sharp LR35902、Game Boy搭載)を生み出す
- Zilog自身も16/32ビット路線からZ80ベースのマイコンへ回帰、eZ80など高クロック版も展開
- 産業用途での長寿命、2022年まで生産継続
- 筆者の初遭遇は電子部品カタログでの現役販売発見、DIYコンピュータ製作経験
- 教師や周囲から当時のパソコン・DIY事例の逸話を多数収集
- 古いチップ(MCS-85, Z80, 8085, 6502, 6522など)を譲り受け、実体験を通じてシステム設計の知見を得る
- 電源オンリセットの難しさ、リンカ・アセンブラ・コンパイラ自作の難易度などを学ぶ
- コンピュータ歴史博物館の証言から、Z80開発の裏話も収集
Datapoint 2200からIntel 8008への進化
- Computer Terminal Corporation (CTC) がDatapoint 2200端末を開発、TTLチップによる8ビットCPUを搭載
- Intelは当初、CTC向けにシフトレジスタやメモリチップを供給
- CPUをワンチップ化する計画が浮上、 Intel と Texas Instruments が受託
- Intel 8008 (当初1201)はCTCの要求に間に合わず、CTCはTTL版で出荷
- 8008は独自に商品化、14ビットアドレス空間・7レジスタ・8レベルの内部リターンスタックを搭載
- メモリアクセスはHLレジスタを利用、I/O空間も32ポートに拡張
- 割り込み処理はRST命令による固定アドレスジャンプ
- スタックはメモリ上に一般用途では存在せず、外部ラッチによるレジスタ退避が必要
- 約3500トランジスタ、DIP18パッケージ、アドレス・データの多重化、2相クロック、+5V/-9V電源の必要性
Intel 8080への発展
- 8008の課題認識から Federico Faggin 主導で改良案が検討
- Masatoshi Shima をBusicomから招聘、8080設計に参加
- 8080は16ビットアドレス(64KB空間)、256 I/Oポート、外部スタック(SPレジスタ)を導入
- レジスタペア(BC, DE, HL, AF)、16ビット演算、命令体系の単純化
- 割り込みはRST命令、割り込み有効/無効制御追加
- 8080はNMOS論理を採用し、-5V/+5V/+12Vの3電源、2相クロック、40ピンパッケージ
- アドレス・データ線の分離、外部ラッチ・デコーダが必要
- サポートIC(割り込みコントローラ、タイマ、DMAコントローラ等)と組み合わせて使用
- 後継の 8085 では単一5V電源・単一クロックに簡略化、追加制御信号も提供
Zilog Z80の登場
- Federico Faggin と Ralph Ungermann がIntel退社後、Zilogを創業
- 当初はマイクロコントローラ設計も検討したが、利益率の観点から断念
- 8080の改良型「Super 80」(後のZ80)設計に着手
- Exxon からの資金調達、 Masatoshi Shima もIntelから招聘し設計チーム拡大
- Z80は8080互換を維持しつつ、命令セット・レジスタ拡張、周辺回路の簡素化、1チップ化を推進
- ソフトウェア資産(CP/M等)を活かしつつ、より使いやすい設計思想を実現
このように、 Z80 は前世代の設計課題を解決しつつ、ソフト・ハード両面でパーソナルコンピュータ時代を切り開いたプロセッサとして、今なお多くの技術者や愛好家に語り継がれています。