概要
- 世界一高い熱帯樹木であるDipterocarpが、高さに関係なく水を上部まで運搬可能であることを発見
- 従来理論を覆し、高木でも乾燥への脆弱性が小木と変わらないことを証明
- 幹や葉の適応進化により、高木でも生育や水分ストレスに強い構造を保持
- 研究はマレーシア・ボルネオ島のDipterocarp樹木を対象に実施
- 気候変動モデルや森林保全政策にも影響を与える重要な知見
世界一高い熱帯樹木Dipterocarpの水輸送能力と乾燥耐性
- Dipterocarp は世界で最も高い被子植物で、アジア熱帯雨林の優占種
- 従来理論 では、樹高が高くなるほど重力や導管の長さの影響で水輸送が困難となり、成長や乾燥耐性が低下すると考えられていた
- Exeter大学 と Cardiff大学 主導の新研究では、Dipterocarpの水輸送システムが樹高に完全適応していることを発見
- 樹高7〜71メートルのDipterocarpを対象に、複数の高さ位置で水輸送特性を詳細測定
- 高木では根元に近い導管がより太く進化し、葉も高い水分ストレスに耐える形態を獲得
- 2023-2024年の強いエルニーニョ乾燥期を含む幹成長率の追跡調査で、高木でも小木と同等の成長維持を確認
研究の意義と今後の展望
- 森林の地上炭素の半分以上を蓄積する、最も高い1%の樹木の理解が重要
- 既存の気候変動影響モデルでは、高木ほど乾燥リスクが高いと予測されていたが、本研究はこれを否定
- 他の高木種の水輸送システムや乾燥耐性の研究が今後の課題
- Dipterocarpはマレーシア・ボルネオの生態系と生物多様性の中核種
- 森林保全や気候変動対策政策の根拠強化につながる成果
研究体制と論文情報
- 研究チームは Sabah Forestry Department (マレーシア)、 UK Centre for Ecology & Hydrology、 University of Aberdeen、チェコ・ドイツ・スペイン・ブラジル・アメリカの研究機関が参加
- 資金提供は Natural Environment Research Council
- 論文タイトル:「Height does not impair the hydraulic system of the tallest tropical Dipterocarp trees」