概要
- 米国の労働分配率は戦後最低水準に低下
- 近年の低下はCOVID後に再び顕著化
- サイクル的な変動は過去の景気後退期と類似
- 産業間の再配分よりも産業内要因が主因
- COVID以降の動向は過去と大きく異ならない
米国における労働分配率の長期的推移
- 労働分配率 は、経済全体の所得のうち労働者に支払われる賃金や給与の割合
- 戦後長らく 約63% で安定していたが、2000年代初頭から持続的な低下傾向
- 特に グローバル金融危機(GFC)で急落 し、その後も低水準が継続
- 技術革新や「スーパースター企業」の台頭、マークアップ率の上昇などが背景要因
- COVID後には、 労働分配率が再び急落し、パンデミック前より1.6ポイント低下
COVID後の労働分配率低下の特徴
- 景気後退期ごとに 労働分配率の推移を比較 し、COVID後の動向を検証
- 2000年以前の景気後退では、 不況期に上昇、回復期に低下、その後再上昇 が一般的
- 2000年代以降は、回復期の低下がより急激で、拡張期にも顕著な反発が見られない特徴
- COVIDパンデミック直後の動きは、むしろ2000年以前のサイクルに近い
- 長期的な拡張期を経ないと、労働分配率の回復は見込めない可能性
産業間再配分と労働分配率の関係
- 産業ごとに労働分配率は異なり、医療や教育は高く、製造業や農業は低い傾向
- COVID後、 経済活動の産業間再配分が一時的に急増 したが、その後は落ち着きを見せる
- 1999-2004年、2007-2012年、2019-2024年の3期間を比較
- COVID期は再配分のスパイク後、 低水準で安定
- 過去の不況期は、 再配分が持続的に拡大
労働分配率低下の主因:産業内要因
- シフト・シェア分解 により、労働分配率変動の要因を分析
- シフト成分:産業内での労働分配率変化
- シェア成分:産業間の経済活動配分変化
- COVIDや過去2回の不況期ともに、 労働分配率低下は産業内の変化が主因
- 産業間の再配分は、 全体の変化にほとんど寄与せず
結論:COVID後の労働分配率低下は過去と同様のパターン
- COVID後の労働分配率低下は、 過去の景気循環と同様のサイクル的動き
- 主な要因は、 産業内での労働分配率の低下
- 産業間再配分の影響は限定的
- 今後も過去の不況期と同様の展開が予想される
著者情報
- Richard Audoly:Federal Reserve Bank of New York, Research Economist
- Miles Guerin:Federal Reserve Bank of New York, Research Analyst
- Srinidhi Narayanan:Federal Reserve Bank of New York, Research Analyst
- Rachel Schuh:Federal Reserve Bank of New York, Research Economist
参考文献・引用方法
- Richard Audoly, Miles Guerin, Srinidhi Narayanan, and Rachel Schuh, “The Post‑COVID Decline in the Labor Share,” Federal Reserve Bank of New York Liberty Street Economics, June 24, 2026, https://doi.org/10.59576/lse.20260624
免責事項 :本投稿の見解は著者個人のものであり、Federal Reserve Bank of New YorkやFederal Reserve Systemの公式見解を示すものではありません。