概要
- The Dictionary of Obscure Sorrows の非公式AIサイト出現問題
- 正規作者 John Koenig の許可なしで書籍全内容を公開
- AI生成画像や新語生成機能の追加による混乱
- 著作権侵害と検索順位の逆転現象
- クリエイターの権利とAI時代の課題
The Dictionary of Obscure Sorrowsの偽サイト騒動
- 2023年8月頃、 The Dictionary of Obscure Sorrows の新しいウェブサイトが登場
- 公式TumblrやSNSからの告知なし
- ドメイン名が微妙に異なる(公式:dictionaryofobscuresorrows.com/偽:thedictionaryofobscuresorrows.com)
- サイトには書籍全文と311語の新語、定義、語源、エッセイを掲載
- オリジナルの写真コラージュはなく、 DALL-E 2 によるAI生成画像を使用
- AIによる新語生成機能とユーザー投稿ギャラリーを実装
- サイト上部に「AIで自分だけのsorrowを生成しよう」とバナー表示
John Koenigのプロジェクト背景
- 2009年に Tumblr でスタート、2013年には動画エッセイも展開
- 代表的な造語「sonder」は一般語彙化し、 Dictionary.com や Merriam-Webster にも掲載
- その他、「anemoia」「vellichor」「monachopsis」なども拡散
- 2021年にSimon & Schusterから書籍化、 New York Times ベストセラー入り
偽サイトの運営者と問題点
- サイト制作は Qontour(旧Prompt Digital) というサンフランシスコのWeb制作会社
- フッターのクレジットで自社名を明記
- ポートフォリオで「ファンとして」制作したと説明
- 著作権表記で「Dictionary Content © John Koenig – All rights reserved.」としつつ、ユーザー投稿はCC0で公開
- 書籍全文の無断掲載は明らかに著作権侵害
- サイト全体に Amazonアフィリエイトコード を仕込み、収益化
- Webflowディレクトリにも登録し、自社の実績として宣伝
検索エンジンとAIによる混乱
- Google検索で非公式サイトが公式サイトや出版社ページ、Wikipediaより上位表示
- ChatGPT や Gemini などのAI検索も偽サイトを公式と誤認
- 著者名や造語で検索しても偽サイトが最上位に表示される現象
- 読者やMetaFilterコミュニティ内でも公式・非公式の混同が発生
著作権とAI時代の課題
- Qontourは「ファン活動」と主張するが、商業目的と明確な無断利用
- 書籍全文掲載、AI画像への差し替え、AI機能追加、アフィリエイト収益化は悪質な権利侵害
- Simon & Schusterは DMCA 削除要請をGoogleに提出したが効果なし
- AI時代の著作権・同意・クリエイターの権利問題が浮き彫り
AIと同意の欠如
- 生成AIは大量の人間の著作物を無断学習し、創作者の価値を搾取
- QontourもKoenigに許諾を得ることなく、全書籍を再構築
- 本人の意向や権利を無視したAI活用は、現代的な「sorrow(悲しみ)」の象徴
- クリエイターの作品がAIや代理人によって再利用・収益化される現象の増加
まとめと今後
- The Dictionary of Obscure Sorrows の件はAI時代の著作権侵害と混乱の一例
- AIによるコンテンツ再パッケージ化・最適化・権威の乗っ取りが横行
- ブロガー、作家、アーティストなど、手作業で創作する人々の価値が脅かされる現状
- 本人や出版社の意向を尊重し、正規ルートで書籍購入を推奨
- Powell’s Books、出版社公式、地元書店、Amazon(著者アフィリエイト経由)などでの購入案内