概要
- 2023年8月のTrump政権による大統領令が米国の科学助成金制度に大きな変革をもたらす内容
- ピアレビューの重要性が大幅に低下し、政治任命者が最終判断を下す新ルール案
- 「国家の利益」を理由に助成金の取消しや文化戦争的テーマの禁止が可能に
- 国際共同研究や論文発表費用の制限など、米国科学界に甚大な影響
- 公的コメント受付中で、科学界の危機的状況
トランプ政権による科学助成金制度の大改変
- 2023年8月、 Trump政権 が科学助成金の運用方法を根本的に見直す 大統領令 を発表
- 従来の ピアレビュー重視 から、政治任命者による最終判断へ移行
- 「ピアレビューを 日常的に尊重しない」よう明記
- 法的要件を無視した命令が裁判で次々と無効化される事態
- 回避策として OMB(Office of Management and Budget) が正式な規則制定プロセスを開始
新ルール案の主な内容と問題点
- ピアレビューの評価は「 助言的」扱い、最終決定権は政治任命者
- 助成金の採択基準が「 国家の利益」や「政権の方針」に大きく依存
- 連邦機関が「国家の利益に反する」と判断すれば、 いつでも助成金を取消し可能
- 特定の社会問題(DEI、ジェンダー、歴史的差別補償等)に関する研究への助成を 明確に禁止
- 文化戦争的な価値観が科学助成金の配分に強く反映
科学研究・国際協力への影響
- 中国研究者 との共同研究への助成金を 全面禁止 の提案
- 友好国との共同研究も「国内優先」原則を徹底
- 国際要素は「 必要性が明確 かつ 国家の利益に合致」する場合のみ容認
- 論文発表費用や国際学会参加費用も、 事前承認制 に
- 科学者が国際社会から孤立し、研究成果の発信や交流が大幅に制限
文化戦争と科学の政治化
- 「 woke(進歩的)政策」への助成金配分を批判
- DEI(多様性・公平性・包括性)施策を 全面排除
- 「ジェンダーイデオロギー」や「disparate-impact liability(見かけ上中立なルールによる人種格差)」の研究助成を禁止
- 申請者の「 政治的立場や所属団体」も審査対象とし、McCarthy時代の再来を想起
科学界への壊滅的な影響
- 助成金の 突然の取消しリスク による研究の不安定化
- 国際的な共同研究や知見の共有が困難に
- 研究テーマの選定が 政治的イデオロギー に左右
- 米国科学界の国際的地位低下と人材流出の懸念
今後の動向と科学界の対応
- 連邦官報 で最終規則が発表されるまで、 パブリックコメント 募集中
- 科学界・大学・研究者団体による強い反発とロビー活動
- 米国の科学研究とイノベーションの将来に対する重大な危機感
著者情報
- John(Ars Technica科学編集者)
- Columbia Universityで 生化学 学士号
- UC Berkeleyで 分子・細胞生物学 博士号
- 趣味はサイクリングとハイキング