概要
- Zig のmainブランチで2026年に導入された主要な変更点のまとめ
- ビルドシステムの大幅な再設計 とパフォーマンス向上
- LLVMバックエンドのインクリメンタルコンパイル 対応
- 型解決ロジックの刷新 とエラーメッセージの改善
- io_uring・Grand Central Dispatch 実装の追加
2026年 Zig mainブランチの主な変更点
- Devlogアーカイブページ にて他の年の変更履歴も参照可能
- 本ページ は2026年分の主要なアップデートを抜粋
ビルドシステムの再設計(2026年5月26日)
- 作者: Andrew Kelley
- makerプロセス と configurerプロセス の分離によるビルドシステムの大規模変更
- 従来は build.zigファイル とビルドシステム全体をデバッグモードで1つの大きなプロセスとしてコンパイル
- 新方式では build.zig は小型プロセス(configurer)としてデバッグモードでコンパイル
- ビルドグラフ をバイナリ設定ファイルにシリアライズし、親のzig buildプロセスがキャッシュ
- 並行して makerプロセス をリリースモードでコンパイルし、設定ファイルを受け取って実行
- makerプロセス はZigバージョンごとに1度だけコンパイル、グローバルキャッシュ利用
- パフォーマンス向上 の主な理由
- ユーザーの build.zig だけを変更時に再コンパイル
- --watch, --fuzz, --webui などの新機能追加時にもビルド時間が増加しない
- 不要な再実行 を回避し、同じ設定時はbuild.zigをスキップ
- ビルドグラフ実行プロセス が最適化付きで高速化
- ベンチマーク結果
- zig build -h 実行時の 壁時計時間が90%以上短縮
- メモリ消費量・CPUサイクル・命令数 も大幅削減
- サードパーティツール (例: ZLS)がシリアライズ済み設定ファイルを活用可能に
- API互換性 は概ね維持、主な破壊的変更点はビルドスクリプト内の引数の扱い
run_cmd.addPassthruArgs();への変更
- 0.17.0リリース 前のテスト・フィードバックの呼びかけ
- 0.17.1 での修正受付も案内
LLVMバックエンドのインクリメンタルコンパイル対応(2026年4月8日)
- 作者: Matthew Lugg
- LLVMコード生成バックエンド でインクリメンタルコンパイル対応
- LLVM Emit Object の高速化は不可だが、Zigコンパイラ本体の処理時間を短縮
- コンパイルエラー発生時 はエラー検出がミリ秒単位で高速化
- masterブランチ で利用可能、0.16.0リリースに含まれる予定
-fincremental --watchオプションで体験可能- Zigコアチーム も1年以上ワークフローで活用
- CIのインクリメンタルテスト もLLVMバックエンドで有効化済み
- バグ報告 の呼びかけ
型解決ロジックの刷新とエラーメッセージ改善(2026年3月10日)
- 作者: Matthew Lugg
- コンパイラ内部の型解決ロジック をより論理的・直感的な設計へ大規模リファクタリング
- 型が初期化されない場合 はフィールド解析を省略し、名前空間としての利用を最適化
- 依存ループエラー のメッセージを大幅改善
- どの型がどこで依存しているか、詳細な情報を表示
- インクリメンタルコンパイル のバグ修正と高速化
- 過剰解析問題 の解消、不要な再解析を削減
- 数多くのバグ修正・小規模な言語仕様変更・パフォーマンス向上 も同時に実施
- 詳細はPR参照、バグ報告の呼びかけ
io_uring・Grand Central Dispatch 実装の追加(2026年2月13日)
- 作者: Andrew Kelley
- std.Io.Evented のAPI更新に対応し、io_uring・Grand Central Dispatch実装を追加
- ユーザースペーススタックスイッチング (fibers/stackful coroutines/green threads)を利用
- 実験的機能 として利用可能
- エラーハンドリング強化
- ロギング削除
- IoMode.evented利用時のパフォーマンス劣化診断
- 未実装関数の実装
- テストカバレッジ拡大
- スタックサイズ取得用組み込み関数 の追加予定
- Io実装の切り替え が容易なZigコードの実現を目指す
- 利用例コード も紹介
まとめ
- Zig mainブランチ は2026年に多数の大規模アップデートを導入
- ビルド速度・型システム・I/O・エラーメッセージ 等、開発体験が大幅に向上
- 新機能テスト・バグ報告 への協力の呼びかけ