概要
- Terry Pratchett のユーモアと哲学が思春期の読者に与えた影響
- 記憶を「家具」に例える独特な比喩の紹介
- 10代特有の読書体験と Pratchett 作品の魅力
- Discworld シリーズのキャラクターたちと共感の理由
- Pratchettの死による喪失感と、次世代へのバトンの願い
記憶は頭の中の家具
- 一部の年老いた哲学者による「記憶は頭の中の家具」という説
- 良い記憶 は安楽椅子、 痛い記憶 はぎっしり詰まったファイルキャビネット
- どちらでもない記憶は、勝手に住み着き、他の家具を蹴飛ばす厄介者
- Sir Terry Pratchett による名文:「Rincewindはその記憶を追い出そうとしたが、記憶は楽しそうに家具を蹴飛ばしていた」
- 16歳のときにこの一文を読んで以来、頭から離れず、今も時折家具を蹴飛ばす存在
教室の後ろの図書館
- 15歳特有の「本来読むべきでない場所での読書」体験
- 教室の後ろ、寝袋の中、間違ったバス、夕食前の10分間などでの読書
- Pocket edition の本は教師の目を盗んで隠せるサイズ
- Pratchett の本は小さく分厚く、紙もどこか後ろめたい質感
- 彼の本は「隠すのにちょうどいいサイズ」という秘密
- Discworld の宇宙が、数学の教科書にすっぽり収まる設計
なぜ10代に刺さったのか
- 当時のファンタジーは「真面目すぎる」ものが主流
- 地図や付録、Heroたちの壮大な物語
- Pratchett は足の生えたラゲッジや、宇宙の馬鹿馬鹿しさを描写
- 読者を「賢い存在」として扱う姿勢
- 10代にとっては「駅で買えるラブレター」のようなもの
- 「初めに無があり、それが爆発した」—9語で完結する宇宙論
- 「心を開いていると、誰かが何かを入れようとしてくる」—大人に何かを詰め込まれる年頃の共感
RincewindとCity Watch、そしてWitches
- Rincewind は臆病で成績不良、唯一の取り柄は頭に最強の呪文が宿っていること
- 16歳の誰もが共感するキャラクター像
- City Watch は少し成長してから読む存在
- Vimes は酔っぱらいから街の道徳的支柱へ
- Carrot は王であることを選ばなかった男
- Angua、 Detritus、 Reg Shoe など個性豊かな面々
- Witches にはまだ共感できなかったが、いつかたどり着く予感
- Granny Weatherwax は待っている存在
The Embuggerance(アルツハイマーとの闘い)
- Pratchettは自身の病を「The Embuggerance」と呼んだ
- アルツハイマー、ゆっくりと奪われていく記憶
- 「Shaking Hands With Death」という講演は死についての最高のエッセイ
- 自らの最期を脚本化し、ハードドライブと蒸気ローラーのエピソードも
- 作者自身が物語のナレーターを最後まで手放さなかった姿勢
失われたもの、10代が失ったもの
- Terry Pratchett は2015年に逝去
- もう16歳ではなく、教室も友人も変わった
- 自分が一番恋しいのは「次の本」
- 10代が手にする「Pratchett型の本」が今は見当たらない現状
- 退屈な授業や宿題に飽きた子どもへの最高の入り口だった
- どこかで、今も家具を蹴飛ばす一文に出会った16歳がいることを願う
- その子が隣の席の友人に本を渡す瞬間への希望
フットノート
- Pratchettは「2つのものを隣に置くと人格や不満が生まれる」と信じていた
- それゆえに、猫についても正しかった