概要
- スマートデバイスのハードウェアに含まれる コンフリクトミネラル 問題への着目
- 地元調達素材を使った エシカルハードウェア 開発の実践
- フェミニストハッキング の手法を活用した回路基板制作
- 陶器(ポーセリン) を基板素材として選択・活用
- 低環境負荷で持続可能な 製造プロセス の詳細解説
エシカルハードウェアとフェミニストハッキングによるPCB制作
- スマートデバイスの多くに タングステン、スズ、タンタル、金、銀 などのコンフリクトミネラルが含まれる現状
- 地元で調達した持続可能な素材を利用した エシカルハードウェア の模索
- 再生可能、低毒性、公正取引、リサイクル、都市鉱山 など多様な生産手段の探求
- アーティスト的かつ責任ある視点で PCB経済 への挑戦
- フェミニストハッキング を批評的枠組み・制作手法として応用
プロジェクトの始まりと目標
- Arduino Uno で使われている ATmega328Pチップ を再利用するアイデア
- コミュニティハッカースペース「Mz* Baltazar’s Lab」での活動背景
- 使い古しのArduino基板からチップのみ再利用
- アナログ・デジタルセンサー入力とLEDやモーター制御など多様な 入出力回路 の設計課題
- 基板素材として 絶縁性・持続可能性・堅牢性 を満たすものを検討
- 卵の殻、木板、ワックス、陶器などの選択肢
- 最終的に 陶器(ポーセリン) を採用
ポーセリン(陶器)の選択理由と特性
- コンデンサ、ピエゾ、抵抗器 など電子部品で既に使われる歴史
- 原材料は カオリン(白色・可塑性)、石器陶土(強度・半透明性)
- 欧州、中国、ブラジル、南アフリカ、ベトナムなどで採掘
- 高温焼成(1000℃ビスク、1200℃グレーズ) が必要なため、電力消費が課題
- 低エネルギー・低環境負荷 な製法として、オーストリアの陶芸家Heinz Lackingerの 野焼き技法 を取り入れる
クレイ基板の成形と乾燥
- 秋の乾燥した時期に 地元の粘土 を採取
- キッチン用コランダー で異物除去し、廃棄物は自然に返す
- 1kgのパウダーに約100mlの水で練り、 空気抜き を徹底
- 六角形タイルカッター(10x10cm) で成形
- 木製スラット を使い1cm厚に均一化、新聞紙で作業台を保護
- 180gの粘土 で一枚分、空気抜きと形を整える
- 麺棒 で平らにし、型抜き後に 3Dプリント製スタンプ で回路を刻印
- 乾燥は 24時間自然乾燥、理想は木板間で1~2週間重しをかけて乾燥
- 急乾燥は火のそばで 慎重に進めることで割れを防止
- 必要に応じて サンドペーパー(#120以上) で表面を滑らかに
回路の塗装と導電素材の選択
- 陶器用 ゴールドラスター (焼成後導電性)を検討
- 原料やサプライチェーン不明、直接はんだ付け不可の問題
- 銀(Silver) ペイントを採用
- ドイツ製、ジュエリー職人の廃銀粉末利用(都市鉱山的手法)
- 細筆(0/5号) で回路パターンを慎重に塗装
- 銀ラインが接触した場合は金属片で修正
- 入出力端子部は 太筆(0または1号) で塗装
- 手塗り は廃塗料が少なく、経済的かつ持続可能
焼成と仕上げ
- 裏庭の穴 を利用し、現地調達の枯れ枝・薪で火を起こす
- 最初に 基板の追加乾燥 を行い、火床を組む
- 耐火手袋・ゴーグル・防火服 を着用し、基板を火床に設置
- 太い枝でベース、細い枝で上部を覆い オーブン効果 を発揮
- 目標温度 約700℃、焼成時間は 約20分
- 焼成後、基板が赤熱したら トングで冷水バケツ に移し急冷
このプロセスにより、 持続可能でエシカルな電子基板 の制作が可能となり、自然と共生しながら 新しいハードウェアの在り方 を模索できる。