概要
- Wallet Unit は認証手段を提供し、複数の識別手段(例:PID)に公開鍵暗号で紐付け
- 高い攻撃耐性が求められるため、認証手段のセキュリティ要件を満たす必要
- モバイル端末の脆弱性管理(MDVM)を通じて、既知の脆弱性の悪用防止を実現
- 収集シグナルを活用し、デバイスやアプリの真正性・安全性を検証
- 各種アテステーションやRASP等を組み合わせ、脅威への多層防御を構築
Wallet Unitにおける認証手段とセキュリティ要件
- Wallet Unit は、公開鍵/秘密鍵ペアを使い、PIDなど複数の識別手段と認証手段を紐付け
- PID発行時、 WB が PP に対してOpenID4VCI Key Attestationで鍵の管理状況を証明
- ISO/IEC 18045に基づき、高い攻撃耐性を持つ認証手段の利用が必須
- EU規則2015/1502やCIR 2024/2979 Article 5 1. b/gに準拠した高保証レベルの電子認証設計が要求
- 認証手段は下記2点の保証を提供
- 秘密鍵ストアの複製・改ざん攻撃からの防御
- ユーザー認証機構への攻撃からの防御
鍵ストア防御とユーザー認証機構の分離
- 鍵ストアの防御は、HSMとして評価・認証済みのRWSCDで実現
- ユーザーデバイスに依存しない保証
- ユーザー認証機構の防御は、デバイス依存
- RWSCAへの二要素認証(所持要素:HKS、知識要素:パスコード等)
- HKSやOSの脆弱性が存在しうるため、事前評価や認証は現実的に困難
モバイル端末脆弱性管理(MDVM)の導入
- MDVM により、HKSやOSの既知脆弱性を運用中に監視
- 高攻撃耐性を満たさないデバイスでは、RWSCA/RWSCDによる鍵利用を禁止
- WBからPPへの保証の有効性を維持
MDVMの主な機能
- デバイス・アプリのセキュリティ状態の検証
- デバイス/アプリの完全性・真正性を確認
- RASP等のプラットフォーム非依存ソリューションも活用
- デバイスクラスの特定
- モデル、OSバージョン、パッチレベル、HKS情報の収集
- デバイスクラスごとの脆弱性確認
- DCVDB参照による最新脆弱性情報の取得
- 利用可否判定
- セキュリティ要件を満たさない場合、OpenID4VCI Key AttestationやRWSCD鍵利用を制限
収集シグナルの概要と脅威対応
- 各シグナルは、対応する脅威の検知・防御に活用
- シグナル例
- KeyAttestation:root化、カスタムROM、不正アプリ、エミュレーション等の検知
- PlayIntegrity:アプリ改ざん、リプレイ攻撃、root化、古い脆弱バージョン利用等
- iOS Device Check:リプレイ、証明書改ざん、不正アプリ等
- RASP:アプリのフック・デバッグ・改ざん、root化、エミュレーション等
KeyAttestationシグナル詳細(Android)
- Hardwareenforced属性でHKS種別やデバイスモデル、OSバージョン等を識別
- 複数のモデル識別子を利用し、デバイスクラス特定の信頼性向上
- 各証明書チェーンや署名の検証が必須
- Googleの失効リスト参照も推奨だが、反映遅延や漏洩鍵問題あり
PlayIntegrity Verdictシグナル(Android)
- アプリの完全性、リプレイ攻撃、root化、プロキシアテステーション等の検知
- Googleバックエンドの評価基準は非公開・不明確
- セキュリティパッチ適用状況の強制にも利用可能(MEETS_STRONG_INTEGRITY)
その他のシグナル
- LPADB:公開漏洩アテステーション鍵を用いたroot化の検知
- DCVDB:既知脆弱性を持つデバイスの検知
- RASP:実行時のアプリ・デバイス完全性の動的監視
シグナル活用上の注意点
- 各シグナルは単独では不完全な場合もあるため、複数の情報源の組み合わせが重要
- デバイスモデル特定には、複数の識別子を総合的に評価
- 鍵アテステーションの署名・証明書チェーンの検証が前提
- Google失効リストの遅延や漏洩鍵の存在に留意
モバイルデバイスのセキュリティ運用への示唆
- モバイル端末の脆弱性は運用期間中も継続的に発見されるため、 静的な事前認証だけでなく、動的な監視・制御が不可欠
- MDVM や多層的なシグナル活用による、リアルタイムなリスク管理体制の構築
- ユーザー端末の多様性や進化を踏まえた、柔軟かつ堅牢な認証基盤の設計が重要