概要
- Stanford Medicineの研究チームが 画期的な普遍的ワクチン をマウスで開発
- 広範囲の呼吸器ウイルス・細菌・アレルゲン に対する長期的な防御を実現
- 点鼻投与 による簡便な投与方法
- 従来のワクチン原理とは異なる 新たな免疫活性化戦略
- 今後ヒトへの臨床試験と実用化への期待
スタンフォード発・普遍的呼吸器ワクチン開発の快挙
- Stanford Medicine研究者らによる 新規ワクチン開発 の報告
- マウス実験 にて、SARS-CoV-2・他のコロナウイルス・Staphylococcus aureus・Acinetobacter baumannii・ハウスダストマイト(アレルゲン)への防御を確認
- 点鼻投与 で肺に数ヶ月間の広範囲な防御効果を発揮
- Science誌(2024年2月19日) に研究成果を発表
- 研究責任者は Bali Pulendran, PhD、筆頭著者は Haibo Zhang, PhD
ワクチンの革新性と従来法の限界
- 従来ワクチンは 抗原特異性 に依存
- 病原体の一部(例:SARS-CoV-2のスパイクタンパク質)を模倣し、免疫系を誘導
- 通常の「普遍的ワクチン」も ウイルス群単位 での免疫誘導が限界
- 真の意味で 多様な病原体に対応するワクチン は「夢物語」とされてきた
- 本研究は 病原体そのものを模倣しない 新戦略を採用
新ワクチンの作用機序 ― 統合免疫の活用
- 自然免疫と獲得免疫 の両方を活性化し、 相互フィードバック で持続的な防御を実現
- 自然免疫: 樹状細胞・好中球・マクロファージ などが多様な病原体を攻撃
- 獲得免疫: T細胞・抗体 が特定の病原体を長期記憶
- Bacillus Calmette-Guerin(BCG)ワクチン にヒントを得て、自然免疫の長期持続メカニズムを解明
- T細胞から自然免疫細胞へのサイトカインシグナル により、自然免疫の活性化が数ヶ月持続
ワクチンの構成と実験結果
- ワクチン名: GLA-3M-052-LS+OVA
- T細胞活性化シグナル を模倣
- 卵白アルブミン(OVA) を抗原として使用し、T細胞を肺に誘導
- 点鼻投与 でマウスに投与、1週間間隔で複数回接種
- 3回接種で SARS-CoV-2や他のコロナウイルスに3ヶ月間防御効果
- ワクチン未接種群は体重減少・死亡・肺炎症を呈したが、 接種群は全員生存・ウイルス量大幅減少
- 細菌感染(Staphylococcus aureus, Acinetobacter baumannii)やアレルゲン(ハウスダストマイト) にも有効
- アレルギー反応(Th2反応)も抑制し、気道の粘液蓄積を防止
今後の展望と社会的インパクト
- 次のステップは ヒトでの第I相安全性試験
- 成功すれば より大規模な臨床試験 へ進展
- 点鼻スプレー2回接種でヒトにも長期防御効果 が期待される
- 5~7年以内の実用化 を目指し、資金調達と開発を推進
- 季節性ワクチンの簡素化、新興感染症パンデミックへの備えに貢献
- Emory University School of Medicine, University of North Carolina at Chapel Hill, Utah State University, University of Arizona も研究に協力
- 研究資金は National Institutes of Health他 から提供
まとめ
- 呼吸器系ウイルス・細菌・アレルゲンに対する普遍的ワクチン の実現可能性を実証
- 点鼻投与・長期防御・多様な病原体対応 という特長
- 医療現場のワクチン戦略を大きく変革する可能性
- 今後の 臨床応用と社会実装 への期待