概要
- Oregon State Universityの研究チームが 新規ナノ材料 を開発
- この材料は がん細胞内部で二重の化学反応 を引き起こす
- 正常組織に影響を与えず、がん細胞のみを破壊
- マウス実験で 完全な腫瘍消失 と副作用なしを確認
- 今後は他のがん種での有効性検証を予定
Oregon State Universityによる新規ナノ材料開発とがん治療への応用
- Oregon State Universityの Oleh Taratula、Olena Taratula、Chao Wang らが主導
- Advanced Functional Materials 誌に成果発表
- 開発したナノ材料は、がん細胞内で 2種類の化学反応 を同時に活性化
- 酸化ストレス を利用し、がん細胞のみを選択的に破壊
- 周囲の 健康な組織には損傷を与えない 設計
Chemodynamic Therapy(CDT)の進展
- CDTは腫瘍内の 独特な化学環境 を利用する新しいがん治療法
- がん細胞は通常組織より 酸性度が高く、過酸化水素濃度も高い 特徴
- 従来型CDTは ヒドロキシルラジカル を生成し、細胞構成成分を酸化で損傷
- 近年は 一重項酸素 の生成にも成功
- 一重項酸素は 電子スピン状態が一つ という特性を持つ活性酸素種
従来CDT剤の課題と新規ナノ材料の優位性
- 従来CDT剤は ヒドロキシルラジカル または 一重項酸素 のいずれかしか効率的に生成できない
- 触媒活性が低く、持続的な活性酸素種の生成が難しい という課題
- そのため、前臨床試験では 腫瘍の一部縮小のみ で、持続的な治療効果に乏しい
- 新規ナノ材料は 鉄系メタル有機構造体(MOF) を基盤とし、両方の活性酸素種を生成可能
- 複数のがん細胞株で 高い毒性 を示し、非がん細胞への影響は最小限
マウスモデルにおける完全腫瘍消失
- ヒト乳がん細胞を移植したマウス に全身投与
- 腫瘍への高い集積性と 強力な活性酸素種生成 を確認
- 腫瘍が完全消失し、再発も長期にわたり防止
- 全身性の毒性や副作用は認められず、安全性を実証
今後の展望と研究体制
- ヒト臨床試験前に 膵臓がんなど他の難治性がん で有効性を検証予定
- 研究には Kongbrailatpam Shitaljit Sharma、Yoon Tae Goo、Vladislav Grigoriev、Constanze Raitmayr、Ana Paula Mesquita Souza、Manali Parag Phawde らも参加
- National Cancer Institute および Eunice Kennedy Shriver National Institute of Child Health and Human Development の資金援助