概要
- ダイビングインストラクター兼プラットフォームエンジニアが、Cocos Islandで大手ダイビング保険会社の会員ポータルに重大な脆弱性を発見
- ユーザーIDが連番かつデフォルトパスワードが強制変更されず、多くの個人情報が容易にアクセス可能な状態
- 責任ある開示としてCSIRT Maltaと組織双方に報告、30日間のエンバーゴ期間を設けた
- 組織の対応は法務的圧力と秘密保持要求が中心で、透明性やユーザー通知の確認が取れず
- 問題解決後も開示プロセスに関する沈黙を強要されるも、透明性維持のため拒否した経緯
ダイビング中に発見した重大な脆弱性
- Cocos Island 周辺で14日間のダイビングツアー中に脆弱性を発見
- 大手ダイビング保険会社の 会員ポータル での事象
- インストラクター として生徒を登録する際のプロセスに問題
- 生徒の個人情報(氏名、生年月日、住所、電話番号、メールアドレス等)を入力
- システムが自動でアカウントを作成し、ユーザーID(連番)とデフォルトパスワードをメール送信
- 生徒が実際に受け取ったメールの ユーザーIDが連番 であることを確認
- 認証方式の致命的欠陥
- ユーザーIDは単なる連番
- デフォルトパスワードは全員共通、初回ログイン時の変更強制なし
- 多くのユーザーがパスワード未変更
- レートリミット、アカウントロック、MFA等の安全策なし
脆弱性の証明
- Selenium を使い、実際のブラウザ操作を自動化し検証
- 極めて短いスクリプトで多数アカウントの不正ログインが可能
- 取得できたデータ例(実際の出力はマスク済み)
- 氏名、メール、生年月日、住所、電話番号、国籍等
- 複数の未成年ユーザーの情報も含む
- 確認後は直ちに全データを削除 し、必要最小限の検証のみ実施
責任ある開示と組織の対応
- CSIRT Malta (MaltaCIP)へ最初に報告、同時に組織にもメールで通知
- Maltaの NCVDP (国家脆弱性開示ポリシー)に則った手順
- 組織へは30日間のエンバーゴ(公開猶予)を設定し、協力姿勢を伝達
- 組織からの最初の返信は 法務代理人(DPOの弁護士) から
- パスワードリセットや2FA導入を検討中と通知
- 「先に当局へ通知したことで不利益が生じた」と不満表明
- 「公表すると損害賠償や刑事責任を追及する可能性」を示唆
- 秘密保持契約(NDA) への署名とパスポートID提出を要求
- 当日中に署名を求める強硬な姿勢
法的圧力と透明性への抵抗
- 秘密保持契約 で「開示プロセス自体についても沈黙」を強要
- 研究者と組織間の 信頼と透明性 が責任ある開示の前提
- 組織側が既に信頼を損なっているため、 全面的なNDAには応じず
- データ削除のみを宣誓する修正版宣誓書 を提案
- MaltaのNCVDPに基づきCSIRT Maltaへの報告は正当と主張
- セキュリティ業界では 問題解決後の分析公開が標準的慣行 であることを説明
- 組織はさらに Malta刑法第337E条(コンピュータ不正使用) を持ち出し、法的脅しを強化
責任ある開示の意義と今後
- 被害ユーザーへの通知が行われたか不明 なまま
- 組織の対応は 名誉回復や隠蔽を優先 し、ユーザー保護や透明性が軽視されがち
- 責任ある開示には 研究者・報告者の権利と安全 も不可欠
- 本件は 技術的欠陥 だけでなく、 ガバナンスや法的対応の課題 も浮き彫りに
- 透明性とユーザーの権利保護 のため、今後も適切な情報公開を継続予定