概要
Rustのコンパイル時間が長いことは、ユーザーの間で頻繁に指摘される問題。 Rustプロジェクトはコンパイラ性能改善に継続的に取り組んでいる現状。 過去数年でビルド速度は確実に向上しているが、依然として十分ではないとの声も多い。 技術的・運用的な制約が、さらなる高速化の障壁となっている実態。 今後も新たなアプローチや大規模な変更での改善が期待される状況。
Rustコンパイル時間への不満と現状
- Rustの コンパイル速度 や フィードバックループの遅さ は、ユーザーから最も多く寄せられる不満点。
- Rust関連の ポッドキャスト、ブログ、アンケート、カンファレンス など、様々な場で頻繁に議論される話題。
- Rustプロジェクト内でも パフォーマンス改善 を重視し、 毎週のトリアージ や ベンチマークスイートの運用 を実施。
- パフォーマンス向上PR は積極的に歓迎し、 退行があれば即座に修正やリバート を行う体制。
- x64 Linux 向け最適化に特に注力しているため、他プラットフォームでは効果が限定的な場合も。
コンパイル性能の進歩と現状の課題
- 2022年から2025年にかけて、 hyperqueue プロジェクトのビルド時間は 約2倍高速化。
- 例:1.61.0(2022年)で26.1秒→1.87.0(2025年)で14.7秒
- ただし、依然として 多くの開発者にとって生産性のボトルネック である現状。
- C++開発者 は慣れているが、 Python開発者 などには特に遅さが際立つ印象。
- 「根本的な解決は可能か?」 という問いに対し、 インクリメンタルビルド の最適化などで十分な高速化が理論上は可能と考察。
- モノモルフィゼーション、型システム、ビルドスクリプト など、Rust特有の複雑さが高速化の障害。
取り組みと技術的な制約
- パラレルフロントエンド、代替コード生成バックエンド、より高速なリンカの採用 など、多様なアプローチを模索。
- MIR-only rlibs、-Zhint-mostly-unused、スマートなインクリメンタルコンパイル など、現時点で利用可能な最適化も存在。
- ビルドパフォーマンス改善 はRustコミュニティ全体に恩恵をもたらし、 CIやテスト実行時間短縮 にも寄与。
なぜ進捗が遅いのか
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技術的な理由
- rustcは巨大かつ複雑なコードベース で、全体を把握している開発者はほぼ不在。
- マイクロ最適化の余地は減少 し、既存の最適化は局所的な最小値に達しつつある状況。
- 最適化によるトレードオフ (例:新しいCPU命令セット対応による互換性問題、メモリアロケータ変更によるメモリ消費増加)。
- 複数バージョン配布のコスト増大 や、CIリソースの逼迫。
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運用・組織的な理由
- 大規模な変更にはチーム内の合意形成(Major Change Proposal)が必要。
- 下層の変更が全体に波及し、多数のテストやレビューが必要。
- 他の開発と競合しやすく、長期的なメンテナンスコストも高い。
今後の展望とアプローチ
- 特定のワークフロー改善 (例:Relink, don’t rebuild提案)による生産性向上の可能性。
- Cargoとの連携強化や、無駄な再ビルド回避 など、賢いビルドプロセスの実現。
- 大規模リファクタリング・構造改革 による本質的な高速化も模索。
- 証明的なパフォーマンス向上 を実現しても、エッジケース対応や後方互換性維持が難題。
まとめ
- Rustプロジェクトは コンパイル性能改善に真剣に取り組んでいる。
- 技術的・運用的な制約 が進捗の遅さにつながっている現実。
- 新たな最適化手法や構造改革 による今後の改善に期待が寄せられる状況。