概要
- École Polytechnique de Louvain での「Open Source Strategies」授業の試験運営体験談
- 学生主体の学びと ストレス軽減 を重視した独自の試験ルール
- Chatbot(LLM)利用の可否 を学生に選ばせた実験的取り組み
- 学生のLLM利用傾向と 成績の相関 に関する観察結果
- 「ストリーム・オブ・コンシャスネス」 という新しい試験手法の導入と効果
オープンソース戦略の試験運営体験
- 試験 は本来ストレスの源であり、著者自身も苦手意識
- ストレスを 学びの機会 に変えるため、従来の試験観を覆す運営
- 学生への説明を重視し、 期待する回答 や助言を個別に伝達
- 以下の独自ルールを設定:
- 資料・インターネット利用自由
- 時間無制限 (長時間は根本的問題の兆候と認識)
- 学生間の議論許可 (実際は促さないと発生しない)
- 自作の試験問題持参可 (実施者は少数)
- 好きな服装で受験可 (多様なコスチュームが登場)
Chatbot(LLM)利用可否の選択制
- リソース利用自由 のルールから、Chatbot利用の是非も議論
- ChatGPT等のLLM利用 を学生自身が事前に選択・申告
- 選択肢A: Chatbot不使用宣言 (違反は不正行為扱い)
- 選択肢B: Chatbot使用宣言 (利用時は以下厳守)
- 利用時は 都度申告
- プロンプト内容 を開示
- 誤りの指摘と理由説明 の義務
- 違反や誤り放置は 減点対象
- Chatbot出力の責任 を学生自身に課す方針
学生のChatbot利用傾向と成績
- 60名中 57名がChatbot不使用 を選択
- 不使用理由を4グループに分類:
- 個人主義型 :自力解答に誇り、Chatbotは最終手段
- 完全不使用型 :LLM自体に嫌悪感
- 実利主義型 :今回の試験では不要と判断
- ヘビーユーザー型 :ルールの厳しさ・責任回避で利用回避
- 各グループごとの 成績傾向 :
- 個人主義型: 15~19点 (優秀層)
- 完全不使用型: 13点前後 (中間層)
- 実利主義型: 12~16点 (やや中上位層)
- ヘビーユーザー型: 8~11点 (下位層)
実際にChatbotを使った学生の事例
- 3名のみChatbot利用
- 1人目:利用忘れ(実質実利主義型)
- 2人目:数回のみ活用し、 自信確認 目的
- 3人目:複数LLMを組み合わせる複雑な運用も、 出力の誤りに気づけず苦戦
- Chatbot利用は、 使いこなせる人ほど不要と感じやすい 傾向
カンニング(不正行為)への世代的恐怖
- Chatbot利用=責任負担増 → 利用回避傾向
- 学生は 不正行為への恐怖心 が非常に強い
- Google検索の自動生成回答でも「不正扱い」かを心配
- 協力・情報共有 すら不正と見なされる現代の学生文化
- 教員時代の「みんなで情報共有」は今や難しい状況
ストリーム・オブ・コンシャスネス手法の導入
- 2026年試験で 「ストリーム・オブ・コンシャスネス」 (意識の流れ)記録を導入
- 削除・修正禁止
- 思考のまま記述
- コピペ禁止(URLのみ例外)
- Chatbot利用不可
- 60名中55名が提出、 自己理解やストレス軽減 に効果
- 「書きながら問題が明確になり、ストレスが減った」という声も
- 失敗した学生の救済材料 としても活用
まとめ
- 試験の在り方・学び方 を問い直す実践
- ChatbotやAI活用 の責任と限界の教育的示唆
- 学生の心理的安全性・自律性 を重視した試験設計
- 世代間ギャップ や現代の不正行為観の変化への気づき
- 新しい学びの手法 としてのストリーム・オブ・コンシャスネスの有用性