概要
- 世界の中央銀行が外貨準備の通貨構成を多様化する動きが加速
- USD資産の割合が過去最低水準に低下、特に「非伝統的」通貨のシェアが拡大
- USD資産自体は微増だが、他通貨資産の増加で割合が下落
- USDのシェア低下は米国の財政・経常赤字運営に影響を及ぼす可能性
- ユーロは安定、RMBとUSDはともにシェアを失い「非伝統的」通貨が台頭
世界の中央銀行、外貨準備の多様化進展
- 世界各国の中央銀行 が保有する外貨準備において、 USD資産の割合 が 2023年第3四半期に56.9% へ低下、 1994年以来の最低水準 を記録
- IMFの統計 によれば、USD資産の割合は Q2の57.1%、Q1の58.5% から連続して減少
- USD資産には 米国債、MBS、エージェンシー債、米社債 などが含まれるが、各中央銀行自国通貨建て資産は除外
- 実際にはUSD資産の売却はほとんどなく、微増 に留まる
- 非米ドル建て資産、特に多数の小規模通貨建て資産 の増加がシェア低下の主因
米ドル基軸通貨の意義とリスク
- 基軸通貨としてのUSD は、 米国債等の価格上昇・利回り低下 に寄与
- 米国の貿易赤字・財政赤字(双子の赤字) を低コストでファイナンス可能に
- USD需要の減少 は、今後 米国の財政運営・経常赤字維持を困難化 させるリスク
- 1977年には85.5%だったUSDシェア は、1991年に 一時46%まで低下
- 当時は高インフレ・高金利・複数回のリセッション経験
- Fedの信認低下がUSD離れを招いた歴史
- ユーロ導入時もシェア低下要因 となったが、2010年代以降は安定推移
外貨準備の通貨別構成
- 2023年第3四半期時点、世界の外貨準備総額は13兆ドル
- USD資産:7.41兆ドル
- EUR資産:2.65兆ドル
- YEN資産:0.76兆ドル
- GBP資産:0.58兆ドル
- CAD資産:0.35兆ドル
- AUD資産:0.27兆ドル
- RMB資産:0.25兆ドル
- ユーロのシェアは約20%で安定、ユーロ危機前は25%近くまで上昇していた
- 「非伝統的」通貨群の合計シェアが上昇 し、USD・RMBのシェアを奪う形に
「非伝統的」準備通貨の台頭
- IMFが「非伝統的」準備通貨と呼ぶ小規模通貨の合計シェアが5.6% に到達
- YEN資産(5.8%)に迫る規模
- RMB資産のシェアは2022年Q1以降減少傾向、2019年水準に逆戻り
- 資本規制・コンバーチビリティ等の課題 が影響
- USD・RMB双方のシェア低下分を「非伝統的」通貨が吸収
- 中央銀行の準備資産分散化が進行中
今後の展望と課題
- USDシェアが50%に近づくと、依然世界最大の準備通貨の地位は維持
- 全体の分散化傾向は続く見込み、特定通貨への集中リスク回避志向
- 米国の財政・経常赤字の持続性への懸念、今後の市場動向に注目