概要
- Python Software Foundation(PSF)は2025年1月、米国NSFの助成金に初申請
- 助成金の条件がPSFのDEI重視の価値観と相反
- PSFは最終的に申請を取り下げる決断
- 申請取り下げにより財政支援の必要性が増大
- コミュニティへの支援と参加を呼びかけ
PSFによるNSF助成金申請とその経緯
- 2025年1月、 Python Software Foundation(PSF) は米国 National Science Foundation(NSF) の「Safety, Security, and Privacy of Open Source Ecosystems」プログラムに助成金を申請
- 申請目的: Python および PyPI における構造的脆弱性への対応
- PSFとして初の政府助成金申請、少人数チームによる新たな挑戦
- Seth Larson (PSF Security Developer in Residence)が Principal Investigator(PI)、 Loren Crary (PSF Deputy Executive Director)が co-PI として主導
- 複数回に渡る提案書作成と数ヶ月間の審査プロセスを経て、助成金の推薦を受ける
- 新規NSF申請者の初回成功率は 36% と低く、PSFの推薦は大きな成果
助成金条件とPSFの価値観の対立
- NSFから提示された条件:「助成期間中、DEI(多様性・公平性・包摂性)や差別的な公平性イデオロギーを推進するプログラムを一切運営しない」旨の誓約
- この制限は 助成金対象事業 だけでなく、 PSF全体の活動 に適用
- 違反時には既に交付済みの資金の「 claw back(返還請求)」が可能となり、財務リスクが極めて高い
- PSFのミッション:「多様で国際的なPythonコミュニティの成長支援」が根幹
- 他団体(例:The Carpentries)の事例も参考にしつつ、条件緩和等を模索
申請取り下げの決断とその理由
- DEI推進を放棄することは PSFのミッション とコミュニティへの裏切りとなる
- 条件を受け入れず、申請を取り下げることを PSF理事会は全会一致 で決定
- 申請取り下げは苦渋の選択であり、PyPIユーザーのセキュリティ強化など、助成金による恩恵は大きかった
- 提案されていたプロジェクト内容:
- PyPIにアップロードされる全パッケージの 自動プロアクティブレビュー ツールの開発
- 既知のマルウェアデータセットに基づく 機能分析 による新手法
- NPMやCrates.ioなど他OSSレジストリにも応用可能な成果
PSFの財政状況とコミュニティへの支援要請
- PSFは 年予算約500万ドル、スタッフ14名の小規模組織
- 助成金額は 2年間で150万ドル と過去最大規模
- インフレ、スポンサー減少、経済的圧力、世界情勢の不安定化なども重なり、PSFは今後さらに財政支援が必要
- PSF会員・寄付者への感謝と、支援の継続・拡大を呼びかけ
PSF支援方法
- 会員になる :Supporting Member登録でPSFの一員に。投票権を持ち、年次支援で活動を支える
- 寄付する :毎年の活動継続のための資金源
- スポンサーになる :Pythonを利用する企業にスポンサーシップを推奨。スポンサー向けページやsponsors@python.orgへの連絡を案内
- 支援者の体験談・ストーリー共有によるPSFの認知拡大も重要