概要
- オープンソース や Free Software の現状と課題についての講演内容
- 表面的な「勝利」論と、実際の利用現場での 閉じたソフトウェア依存 のギャップ
- ファームウェアやアプライアンス など、深層のレイヤーでの自由度の低さ
- ユーザーの 自由と制限、そして社会的な影響例
- 今後の課題 と、自由ソフトウェア運動の意義
オープンソースは本当に勝利したのか?
- P.I.W.Oでの講演 を元にした内容
- 発表者自身は Linux、KDE、Firefox、Inkscape などFree Softwareを日常的に利用
- 会場の多くも Free Softwareユーザー である現実
- メディアでは 「オープンソースの勝利」 が度々報じられている(ZDNET、Linux Journal、Wired等)
- 例示されるのは Linux、Ruby、Red Hat、GitHub、Microsoft など
- だがGitHubやMicrosoftが「自由」かは疑問
- 「オープンソースは勝った」という主張は、 一面的な見方 に過ぎない可能性
ソフトウェアが世界を支配する時代
- ソフトウェアがあらゆる分野に拡大 し、制御領域が広がる現実
- Free Software の存在は、ユーザーが自ら制御権を持つために重要
- LinuxベースのOS、豊富なプログラミング言語、オープンなクリエイティブツール の選択肢
- 3Dプリンタ、スマートフォン、スマートウォッチ もオープンな選択肢が登場
- 完全に自由なファームウェア搭載GPU (例:Nvidia Kepler 2012年モデルまで)
- 自転車やミシン、通信機器、車、HDD なども一部はオープンだが、全てではない
閉じたソフトウェアの壁
- スマートフォンのモデム は特許の壁でオープン化困難(Librem 5の事例)
- GNUプロジェクト の始まりも、プリンタ用ソースコードが非公開だったことへの反発
- 40年以上続く プリンタの自由 への闘い
- プリンタの現状も ドライバ探しや機能制限 で混乱
オープンソースの適用範囲と課題
- オープンなソフトウェア が利用できる分野と、 閉じたソフトウェア に依存する分野の地図
- アプリ: Blender, Firefox, KiCAD – Twitter, YouTube
- OS: GCC, Apache, OpenSSL
- カーネル: Linux, Zephyr, FreeRTOS
- ファームウェア: Coreboot – modem, GPU
- アプライアンス: Prusa 3D, Airgradient – 洗濯機、テレビ
- プログラマが直接触れる層 は比較的オープンだが、 下層や家電 は閉じたものが大半
一般的なノートパソコンにおけるファームウェアの現実
- ノートPCには 10〜15個の独立したプロセッサ (GPUやHDD、キーボード等)が存在
- Linuxやドライバ、アプリ は主CPU上で動作するが、 入力装置や表示装置 は閉じたソフトウェア依存
- ネットワークカードやストレージ も同様に閉じたソフトウェアに依存
- ストレージデバイスでオープンなソフトウェア が動作した例はほぼ皆無
- Secure Boot のように、ユーザーが起動できるソフトを制限する仕組みも増加
ユーザーの自由とその現実
- ソフトウェアの四つの自由 (実行、学習・改変、複製、改良の共有)が守られてこそ真の自由
- しかし、現実には 専門家以外には関係ない と思われがち
- だが、 家族や知人のサポート役 としての立場では、サポート不能な事例(Androidのサポート切れなど)が発生
- Android製品は4〜8年でサポート終了 し、使えなくなりe-waste化
- Free Software であれば、13年前のLenovoノートPCも未だにセキュリティアップデートが受けられる
- ドライバやブートローダーのオープン性 が寿命の長さに寄与
クラウド依存と「ラグプル」の危険性
- クラウド専用デバイス は、サービス終了と同時に「高価な文鎮」と化す危険
- 農業機械などのIoTデバイス は、パーツ交換すらメーカー認証が必要な場合も
- 認証が通らず収穫できず破産 という深刻な事例
- 医療機器(ペースメーカー等) にも閉じたソフトウェアが使われ、命に直結する問題
ソフトウェアの自由が社会に与える影響
- Karen Sandler のように、個人の健康や命に関わる問題としてFree Softwareを捉える事例
- ユーザーが自分の体や生活を閉じたソフトウェアに預けざるを得ない現実
- ソフトウェアの自由を守ることの社会的重要性
この講演は、「オープンソースが勝利した」という表面的な言説の裏にある、 現実の制約や課題 に光を当て、 ユーザーの自由 を守るために今後も努力が必要であることを訴えています。