概要
- Tim Berners-Lee による「Socially Aware Cloud Storage」構想の経緯と目的
- Solidプロトコル や AT Protocol など、ユーザーデータ主権を実現するための技術動向
- 個人データサーバー(PDS) や データ協同組合 の概念と普及状況
- データ所有権の未来像と オープンソーシャルウェブ の実現可能性
- 今後の課題と、よりパーソナルなウェブへの期待
Socially Aware Cloud StorageとSolid構想
- 2009年、Tim Berners-Leeが「Socially Aware Cloud Storage」仕様案を提案
- ユーザーやグループをURIで識別 し、グローバルなアクセス制御を実現する設計
- ストレージとアプリケーションの独立性 を重視したアーキテクチャ
- 「 データはユーザーのもの」という思想のもと、Solidプロトコルを開発
- Solid はオープンソースで、データ所有権とアプリ間の相互運用性を実現する標準仕様
Solidプロトコルの特徴と課題
- Solid では、アプリがユーザーデータを自動で所有せず、 ユーザーの許可が必要
- データはユーザー自身が管理し、 一元的な制御 が可能
- 健康データ、金融データ、SNS投稿 など、用途ごとに異なるサーバーを選択可能
- Inrupt (Timが共同設立・CTO)が主な資金源、主にエンタープライズ向けに展開
- 一般普及はまだ限定的で、 大規模なWeb導入 には課題が残る現状
AT ProtocolとOpen Social Web
- Bluesky 主導の AT Protocol が登場、ユーザーデータ主権の実現を加速
- 30万人以上のネットワーク と、BlackskyやTangledなどの分散型コミュニティの拡大
- SolidとAT はアーキテクチャは異なるが、 ユーザー主権型データストレージ を目指す点で共通
- 個人データサーバー(PDS) や Pod と呼ばれるストレージの概念
- @alice.com や @bob.com のような、 ドメインベースのユニバーサルハンドル が実現
データ協同組合と新しいデータ所有モデル
- 一般ユーザーは PDS を個人PCではなく、 クラウド上の協同組合型サービス に委託
- Credit Union のような、 会員制・民主的なデータバンク の普及
- social.coop、data.coop、cosocial.ca など、既存のデータ協同組合の実績
- Blacksky、Eurosky のような地域・コミュニティ主導の新興プロバイダー
- データ所有権の議論 が、「企業が何をダウンロードさせるか」から「プラットフォームが何を一時的にコピーできるか」へ転換
オープンソーシャルと将来展望
- ユーザーデータとプラットフォームの分離 がATネットワークで最も進展
- ActivityPub や Solid との技術的な相互補完や収斂の動き
- プロトコル非依存型のデータ協同組合 や、柔軟なストレージフォーマットの可能性
- プラットフォーム崩壊時にも、ユーザーが自身のソーシャルグラフを再構築可能
- 「 ウェブを再びパーソナルに」という理念の重要性
関連リソース
- Den Delimarsky 「Be A Property Owner And Not A Renter On The Internet」
- Erlend Sogge Heggen 「Digital Homeownership」
- Jeff Atwood 「Avoiding Walled Gardens on the Internet」