概要
- CD40アゴニスト抗体 による新しいがん免疫療法の臨床試験結果
- 12人中6人 で腫瘍縮小、2人で完全寛解を達成
- 局所投与 による全身的な抗腫瘍効果と副作用の低減
- 免疫細胞集積 による腫瘍微小環境の変化が観察
- 今後、 他のがん種での臨床試験 や反応性予測因子の解明が進行中
新規CD40アゴニスト抗体2141-V11の臨床試験結果
- CD40アゴニスト抗体 は過去20年にわたり期待と失望を繰り返してきた免疫療法薬
- 動物実験では強力な抗腫瘍効果を示すも、 臨床試験では副作用 (全身炎症、血小板減少、肝毒性など)が問題に
- 2018年、Rockefeller Universityの Jeffrey V. Ravetch 研究室が 2141-V11 という改良型CD40抗体を開発
- ヒトCD40受容体に高親和性で結合し、Fc受容体との相互作用を強化
- 抗腫瘍免疫応答が従来比10倍に向上
- 投与方法を静脈内から腫瘍内直接注射に変更 し、副作用を大幅に軽減
- フェーズ1臨床試験(Cancer Cell誌に掲載)では 12人中6人で腫瘍縮小、2人で完全寛解
- 完全寛解例はメラノーマと乳がん患者
- 投与した腫瘍以外の部位でも腫瘍消失や縮小が確認され、全身性免疫応答を誘導
免疫微小環境の変化と全身効果
- 腫瘍組織の解析で、 樹状細胞、T細胞、成熟B細胞 など多様な免疫細胞が集積
- 腫瘍内に 三次リンパ組織(TLS) が形成され、予後や免疫療法効果の向上に関連
- 投与していない腫瘍にもTLSが出現し、 全身的な免疫細胞の移動と活性化 を確認
今後の展望と課題
- Ravetch研究室はMemorial Sloan Kettering、Duke Universityと共同で 他のがん種(膀胱がん、前立腺がん、膠芽腫など) に対する臨床試験を進行中
- 合計約200人が参加し、 反応する患者としない患者の違い や予測因子の特定を目指す
- 完全寛解した2例では T細胞クローン性が高い ことが判明
- 免疫システムの特定条件が治療効果に関与する可能性
- 今後の課題は、 どの患者が免疫療法に反応するかの予測 と 非反応者を反応者に変える方法の確立
まとめ
- 2141-V11 はがん免疫療法の新たな可能性を示す治療薬
- 局所投与による全身効果と副作用の低減 が大きな特徴
- 免疫微小環境の改変 と 三次リンパ組織の形成 が治療効果の鍵
- 今後の大規模臨床試験とバイオマーカー研究に期待