概要
- 2025年8月20日未明、 Great Firewall of China (GFW) による異常な TCP RST+ACKパケット注入 が発生
- TCP 443番ポート のみ対象、他の一般的なポートには影響なし
- 注入は 中国内外双方の通信 に発生し、発動条件に非対称性
- 既知のGFW装置の指紋と一致せず、新型または誤動作の可能性
- 事象は約 74分間のみ発生、追加観測が必要
中国GFWによるTCP 443番ポート遮断異常事象の詳細解析
- 2025年8月20日0:34~1:48(北京時間)、GFWが TCP 443番ポート 全通信に対し 無条件RST+ACKパケット注入 を実施
- この影響で 中国と海外間のインターネット通信が大規模に遮断 される事象
- 22、80、8443等の他ポート では同様の遮断は未観測
- 中国発通信 ではクライアントのSYNパケットとサーバのSYN+ACKパケットそれぞれが 3個のRST+ACK注入 を誘発
- 海外発通信 ではサーバのSYN+ACK応答のみが RST+ACK注入 を誘発、SYN単体では発動せず
- 注入装置のパケット指紋 は既知GFW装置と一致せず、 新規装置または異常動作 の可能性
- 事象発生期間が短く、限定的な観測のみ。 追加情報提供を呼びかけ
遮断発動の詳細検証
-
中国内(AS45090, Tencent Cloud, Beijing) および 国外複数拠点 からのプローブで遮断再現
- ncコマンド による443番ポートへのTCPハンドシェイク試行で 接続拒否
- tcpdump でSYN送信時に 3つのRST+ACKパケット (ウィンドウサイズ1980, 1981, 1982)が観測
- サーバのSYN+ACK応答でも 3つのRST+ACKパケット (ウィンドウサイズ3293, 3294, 3295)発生
-
国外から中国向け 通信でも RST+ACK注入 を確認
- クライアントは 3つのRST+ACKパケット のみ受信、SYN+ACK応答が発動条件
- 同一/24サブネット内で 443番が閉じているIP には発動せず
-
影響ポートの限定性
- 443番のみが対象、他の一般的なポート(1-72, 22, 80, 444, 8443など)は未影響
- 全ポートスキャン時には 事象消失、遮断期間の短さを示唆
GFW遮断装置の指紋・特性分析
- GFWは多様な装置 で構成され、RST注入時のパケット指紋も装置ごとに異なる
- 今回の異常事象の 装置特定を目的 に、遮断終了後も 同一経路でプローブ調査
- 観測されたRST+ACKパケット は、既知装置(NiereらのMB-1やWuらのGFW(II))と類似点あるが、 完全一致せず
- 既知装置は 同一内容の3連続RST+ACK だが、今回は TTLやウィンドウサイズが漸増 する特徴
- IPフラグDF(Don't Fragment) 設定、TTL値やウィンドウサイズの微妙な差異
- 新種装置 または 既知装置の異常動作 の可能性が高いと推定
参考:既知GFW装置によるRST注入の指紋例
- HTTP Hostベース遮断 :RSTパケットのTTL値やウィンドウサイズ、フラグ設定に特徴
- TLS SNIベース遮断 :同様にRST注入時のパケット構造に固有のパターン
まとめ・今後への示唆
- 今回の 大規模遮断事象 は、 GFWの新たな運用形態や障害 の可能性を示唆
- 443番ポート(HTTPS通信) だけを狙い撃ちした点、発動条件の非対称性が特徴
- 遮断装置の挙動解析 が進めば、GFWの内部構造や運用ポリシーの変化把握に繋がる見込み
- 短期間発生・観測データ限定 のため、 追加情報・事例共有を推奨