概要
- Valve と Itch が成人向けコンテンツの削除を余儀なくされた背景
- 「独自決済プロセッサを作れ」論の非現実性と理由
- 決済業界の 構造的な複雑さ とリスク管理の重要性
- Itch のリソース的・法的限界
- リスク と 規制 が決済の根本的な障壁
ValveとItchの成人向けコンテンツ削除問題
- Valve は一部ゲームを削除、 Itch は一時的に全成人向けコンテンツを非公開措置
- この対応の差は 企業規模 や交渉力の違いが影響
- 批判の中でよく挙がる主張:「Itchは独自の決済プロセッサを作るべき」「ポルノ対応の決済業者を使えばいい」
- どちらも 現実的ではない 選択肢
決済プロセッサとは何か
- 「決済プロセッサ」は 金融機関とテクノロジー企業 が複雑に絡み合うピラミッド構造
- Visa/Mastercard などは「Payment Card Network(PCN)」、その下に「Acquirer(加盟店契約銀行)」が存在
- 「Merchant Service Provider(MSP)」や「Payment Facilitator(PayFac)」が実際の決済処理を担当
- Stripe や Paypal はPayFacの代表例
- Itch は「Merchant」、クリエイターは「Sub-merchant」という関係性
独自PayFacの構築が困難な理由
- Acquirer(銀行) のスポンサーが必須条件
- PCN登録料や審査、高額な初期投資が必要
- リスク管理・セキュリティ・KYC(顧客確認) など膨大な運用責任
- 国際規制 (例:米国KYCとEU GDPRの両立)が技術的にも法的にも困難
- 成人向け取引 は特に年齢確認など、追加の厳格な規制
Itchの人的・運用的限界
- Itch は実質1人+数名のパートタイム体制
- 現状でも 手作業でクリエイターに支払い を行う運用
- 独自PayFac構築には 専任部門と数十名規模のエンジニア・運用担当 が必要
- Valve ですら専用部門を新設しなければ不可能な規模
- どちらも最終的には 銀行やVisa/Mastercardの規制 に従わざるを得ない
Acquirer(加盟店契約銀行)になる難しさ
- VisaのAPI はAcquirerやそのスポンサーのみ利用可能
- 銀行業ライセンス・巨額の資本金・厳格な認証 が必要
- 「銀行になる」こと自体が 現実的な選択肢ではない
PayFacの利用規約違反とリスク
- Paypal/Stripe は成人向けコンテンツの決済を禁止
- 規約違反でも リスクが顕在化しなければ黙認 されるケースも
- 問題が表面化すると アカウント凍結・取引停止 などのリスク
金融業界における「リスク」の意味
- リスク評価 は「不正・チャージバック発生時の損失補填能力」が基準
- 取引チェーンの各段階 で「誰が損失を被るか」を明確化
- リスクが高いと判断されれば即時契約解除 や取引停止もあり得る
まとめ
- Itch や Valve が独自決済プロセッサや銀行になるのは 技術的・法的・運用的に非現実的
- 規制やリスク管理の構造的問題が 根本的な障壁
- 「自前でやれば解決」という単純な話ではない現実