概要
- Wikipedia で最も多言語に翻訳された記事がアーティスト David Woodard に関するものである事例
- Swmmng というユーザーを中心とした大規模な自己宣伝活動の発覚
- 200以上のアカウント や多数のプロキシIPを使った長期的な操作
- 機械翻訳 や低品質なスタブ記事による多言語展開
- 編集・翻訳活動 の経緯と停止のきっかけ
Wikipedia史上最大規模の自己宣伝工作 ― David Woodard現象
- 2024年後半、Wikipediaで最も多くの言語に翻訳された記事が David Woodard に関するものとなった現象
- 335言語 で記事が存在し、国やWikipedia自身をも上回る事例
- 多くの翻訳記事が Swmmng という単一ユーザーによって作成
- 調査により 10年以上 にわたる自己宣伝活動であることが判明
- 200以上のアカウント や多数のプロキシIPを利用した組織的な編集
David Woodardとは何者か
- 1964年カリフォルニア生まれ のアーティスト
- Dreamachine のレプリカ制作で注目され、William S. Burroughsらと交流
- 死の前に演奏される「 prequiem」という音楽スタイルを提唱
- Timothy McVeigh の処刑時に技法を披露
- プレス記事で「 有名になりたがる奇人」「虚言癖」と報道
- Nueva Germania (元白人至上主義者の入植地)への関心、ナチス戦犯の家でDreamachine工場計画
- 2014年 に英語版Wikipedia記事が作成、後にプラハへ移住し Sonja Vectomov と結婚
写真と初期編集活動
- BarunH というアカウントがWoodardの写真をWikicommonsに投稿
- フランスやアトランタなどの グローバルブロックIP が記事編集
- Judy Nylon の写真投稿・編集も同様の手法
- 英語版Wikipediaで チェコ関連アーティスト の記事編集も開始
Swmmngの登場と活動拡大
- 2015年6月19日、Swmmngアカウント作成
- Woodardの親友や義理家族、チェコ芸術家の記事を次々作成
- VectomovやWoodard自身の記事の編集・写真投稿
- San Francisco Gate 記事タイトルから「Pure Aryan」等の表現削除の指摘を隠蔽
- Sonja Vectomov の記事を作成し、自身撮影の写真を掲載
多言語翻訳と関連アカウント
- Judgtastic や Špačkovití など、チェコ芸術家やWoodard関連に特化したアカウントの出現
- 各種IPアドレスや複数アカウントによる記事作成・編集
- Simple English Wikipedia やスペイン語版、各国語版へ記事展開
- FlenBotoz など短期間のみ活動するアカウントの存在
Swmmngによる大量翻訳キャンペーン
- 2017年8月~2019年3月、92言語以上でWoodard記事を新規作成
- 当初は欧州言語中心→少数言語や人工言語にも拡大
- 機械翻訳 による低品質なスタブ記事が大半
- 世界中のIPアドレスによる不可解な翻訳活動
- 韓国IPによるペンシルベニアドイツ語記事
- フィンランドIPによるナワトル語・エクストレマドゥーラ語記事
- プラハIPによるSrnanan TongoやZhuang語記事
- 小規模Wikipedia やマイナー言語へとターゲットが移行
活動停止の経緯
- 2019年3月11日、ユーザー PiRSquared17 からの問い合わせでSwmmngの活動が停止
- 以降、新規記事作成はごく少数に減少し、IPによる活動も終了
- 2020年 には無関係の機械翻訳記事が一部出現するのみ
新たな写真投稿
- CWells によるWoodardとMelvin Belliの写真投稿など、関連する新規写真の出現
まとめ
- David Woodard に関するWikipedia記事の多言語展開は、前例のない自己宣伝活動の結果
- Swmmng を中心とした組織的かつ長期的な編集操作
- 機械翻訳 やプロキシIPを駆使し、Wikipediaの多言語化を逆手に取った事例
- 問い合わせやブロック対応により活動は終息
- Wikipediaコミュニティの 監視体制強化 と多言語展開の課題が浮き彫り