概要
RTL-SDRドングル とアンテナで ADS-Bメッセージ を受信し、航空機データを収集する方法の紹介。 readsb などのソフトでデータをデコードし、 ADS-B Exchange にデータ提供も可能。 ADS-Bデータから 気象モデル を構築し、風速や気温、気圧の推定が可能。 ヒストリカルデータ を用いた粒子モデルによる風向・風速の可視化例を解説。 モデルの精度を GFSベースの可視化 と比較し、実用性を検証。
RTL-SDRドングルとADS-B受信の概要
- RTL-SDRドングル とアンテナの購入で、航空機の ADS-Bメッセージ 受信が可能
- ADS-B は航空機の位置・進行方向・速度などを 無線でブロードキャスト するシステム
- 全航空機で送信義務 があり、 暗号化されていない ため誰でも受信可能
- readsb などのソフトウェアでPC上にデータ取り込み・デコード
- ADS-B Exchange 等のサーバーにデータ提供し、世界中の航空機を可視化
ADS-Bの仕組み
- Mode Sトランスポンダ が 1090MHz でADS-Bメッセージを送信
- パルス位置変調(PPM) でデジタルデータをエンコード
- 詳細は Junzi Sun著「The 1090 Megahertz Riddle」 で解説
- 位置・進行方向・速度 など多様な飛行データを含む
- 地上速度 (GPS計測)と 対気速度 (機体センサー計測)の両方を含む
ADS-Bデータによる気象モデルの構築
- 航空機ごとの位置・進行方向・速度データ の集約・処理で気象モデル構築
- heading(機首方向) と track(実際の進行方向) の差分が 風ベクトル を示す
- (対気速度, heading) と (地上速度, track) のベクトル差分で風速・風向を推定
- 数千機のデータ を組み合わせることで、実際の風況を高精度で再現可能
- 気温・気圧 もADS-Bメッセージから抽出可能、気象予報の精度向上に寄与
実データを用いたモデル構築と可視化
- ADS-B Exchangeのヒストリカルデータ (例:2024年4月30日分1.84GB)を取得
- 各航空機ごとに300個の粒子 を配置し、計算した風ベクトルで初期化
- 粒子モデル による ランダムウォーク で風の変化をシミュレーション
- グリッドごとに粒子の平均速度ベクトル を算出し、風速・風向を可視化
- 航空機数が多いほど精度向上、夜間はデータ量減少で精度低下
モデル精度の検証
- Cameron Beccarioの地球規模風可視化 (GFSベース)と比較
- 高度約11km (250hPa相当)の風速・風向を比較し、概ね一致
- 地中海上空の高速風 など、速度分布も高い一致度
- nullschool.net風 の可視化スタイルを再現し、モデルの信頼性を確認
まとめ
- RTL-SDRとADS-B受信 で手軽に航空機データ収集・解析が可能
- 粒子モデル を活用することで、 リアルタイム風況推定 や気象研究への応用が期待
- オープンデータとオープンソース の活用が、気象解析の民主化を促進