概要
Chrome 系ブラウザが 世界標準 となり、他のレンダリングエンジンはほぼ消滅。 新たな 選択肢 として Servo が登場し、Rust製で安全性と並列処理が特徴。 Servo はLinux Foundation Europe管理下で独立開発が進む。 現時点で実用的なブラウザはないが、将来的な可能性に期待。 FirefoxやGeckoの今後と合わせて、ウェブ標準の多様性維持が課題。
Chrome時代の到来とウェブエンジンの統一
- Google Chrome が世界で最も普及した ウェブブラウザ となった現状
- 主要な競合ブラウザも Chromium コードベース(Microsoft Edge, Vivaldi, Opera, Brave, Arcなど)
- Safari と Firefox のみが独自エンジン(WebKit, Gecko)を維持
- 2000年代初頭は各社独自エンジン(Trident, Tasman, Presto, NetFront, Gecko, KHTML)を開発
- 各エンジンの統合・消滅により、 WebKit や Blink、 Gecko が主流に
- Opera や Microsoft Edge も独自エンジンを放棄しChromium採用
オープンウェブへの危機
- 実装が一つ しか存在しない標準は、実装自体が標準となる危険性
- ウェブが Google の支配下に置かれる懸念
- Chromium の制限やセキュリティ問題が他ブラウザにも波及
- Manifest V3移行時にセキュリティや機能制限が話題に
新たな選択肢:Servo
- Servo は Rust 製の完全新規ウェブレンダリングエンジン
- マルチスレッド処理・メモリ安全性が最大の特徴
- Chromium開発者も「深刻なバグの約70%がメモリ安全性問題」と指摘
- Linux Foundation Europe が管理、技術委員会主導で開発
- 「埋め込み可能なレンダリングエンジン」を目指し、ElectronやAndroid WebViewの代替も視野
- 数十年ぶりの完全新規エンジンとして、既存ブラウザの教訓を活かし開発
Servoの現状と課題
- フル機能のブラウザは未登場、 nightlyビルド でエンジンの試用可能
- ブックマークや拡張機能、同期機能などは未実装
- 多くのサイトでレンダリングバグや崩壊が発生
- Wikipedia や CNN Lite など軽量サイトは正常動作
- デモページ でグラフィック性能を確認可能、現状ではSafari等に性能で劣る
- Acid3テストで 83/100点、主流ブラウザよりやや劣後
- 今後の優先開発項目は Shadow DOM や CSS Grid など
Servoの歴史とMozillaとの関係
- 2012年 にMozillaがServo開発を開始、 2013年 にSamsungも参加
- 安定化後はFirefoxのGeckoエンジン置換も計画されていた
- MozillaはGeckoの一部のみServoコードに置換(Firefox QuantumでCSSエンジン刷新)
- 2020年 の大規模レイオフでServo開発者が解雇され、Mozillaは開発から撤退
- Servoは Linux Foundation 傘下で再始動、 Igalia などからも支援
Firefox・Geckoの今後とゲーム理論
- 米司法省(DOJ) がGoogleの検索独占に対し裁判を進行
- GoogleがChrome売却や他ブラウザへの検索契約停止を命じられる可能性
- MozillaはGoogleからの収益が大半で、契約終了なら Gecko 開発維持困難
- Firefoxが WebKit や Chromium/Blink に乗り換えるリスク
- オープンソースコミュニティによるGeckoの継続開発やServoとの統合案
- Gecko消滅の可能性もあり、WebKitやChrome/Safariの寡占化進行懸念
Servoの未来への期待
- FirefoxやGeckoの将来にかかわらず、 Servo がウェブ標準多様性の希望
- ウェブエンジンの選択肢拡大とオープンウェブ維持への貢献に期待