概要
- 世界34カ国の人々の消費カロリーは、肥満率の違いに関わらずほぼ同じ
- 生活様式や活動量の違いが消費カロリーに大きく影響しないことを発見
- 肥満の主因は運動不足よりも 食生活の変化 である可能性
- 超加工食品の摂取増加が肥満率上昇と関連
- 公衆衛生対策は「食事内容の改善」へ重点移行が必要
世界各国の消費カロリーと肥満率に関する新研究
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1800年代アメリカ では肥満はほとんど見られなかった現状
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近代化に伴い 肥満率の増加 が先進国で顕著
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伝統的な生活様式(例:TanzaniaのHadza族)では肥満が依然として稀
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一般的な仮説:社会の発展とともに 運動量が減少し、消費カロリーも減る ため肥満が増加
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Duke Universityの Herman Pontzer教授 らの国際共同研究による新たな発見
- 世界34カ国・文化圏の人々の 1日の消費カロリー を比較
- ハンター・ギャザラーや農耕民から、欧米の事務職従事者まで幅広く調査
- 生活様式や活動レベルが大きく異なっても、 1日の総消費カロリーはほぼ同じ
活動量の違いと消費カロリー
- 研究対象: 4,200人超の成人男女
- 特殊な水(同位体入り水)を飲用し、尿中の同位体排出量から 正確なエネルギー消費量 を測定
- 体格差を調整した上で、 肥満率の高い集団 と 低い集団 の消費カロリーを比較
- 肥満率が高い集団でも、 消費カロリーはわずかに少ない程度 にとどまる
- エネルギー消費の違いは肥満率の差にほとんど寄与しない
- 身体活動量が多い人も、 身体が他の機能(基礎代謝など)で消費するエネルギーを調整 し、総消費カロリーを一定範囲に保つ傾向
肥満の主因は「食事内容」
- カロリー消費量の違いが肥満率の差を説明できないため、 主因は食事内容 である可能性が高い
- Brigham and Women's HospitalおよびHarvard T.H. Chan School of Public Healthの Deirdre Tobias博士 もこの研究結果を評価
- Tufts Universityの Dariush Mozaffarian博士 も「 100%食事が原因」と断言
- 近年、食料供給の大きな変化( 超加工食品の増加)が肥満率上昇と関連
- 超加工食品からのカロリー摂取が多い国ほど、 肥満率・体脂肪率が高い 傾向
公衆衛生メッセージの見直し
- 従来の「運動不足=肥満」のイメージは 誤解 の可能性
- 「怠けているから太る」という自己責任論からの脱却
- 運動は 心身の健康維持 に重要だが、 悪い食生活は運動で帳消しにできない
- 肥満対策のためには、 「何を食べるか」 に重点を置いた公衆衛生メッセージが必要